第77章 ふたり 一人独り 後編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
「今回の件についての話を、
俺に聞かせて頂き、ありがとうございました。
きっと、貴方が俺にしたくれた話には、
みくりから直接に話を聞いていたとしても
知り得なかった情報も含まれている。
彼女の口から、感情の込もった
主観的な情報を聞くよりも
俺も落ち着いて冷静で居られましたので」
「ほら、やっぱり、僕の目には
狂いは無かったようだね。
杏寿郎君になら、僕の妹を安心して
預ける事が僕も出来そうだよ。
僕の話も、これでお終いだ。
折角なんだし、帰りもホテルまで
送らせるから、遠慮しないで食べて行って」
そう言ってここの名物だと
ごま鯖の出汁茶漬けを注文して
これをここに来たら食べて行かないとと
そう杏寿郎に勧めて来るから
食通の成瀬さんが勧めるだけあって
ごまが利いた鯖と出汁と
わさびや大葉やミョウガと言った薬味の
味が風味豊かで何杯でも流しこめそうな
美味さの一品で
普段はメニューには無いらしいが
成瀬さんがごはんジャパンで
ごま鯖のお茶漬けをテレビで観て
食べたいから作ってと言ったから
アレンジを重ねて出来たメニューで
知る人だけが注文できる裏メニューらしい
あまりに美味かったので
2杯目をあっという間に平らげてしまって
俺が3杯目を食べているのを
成瀬がじっと見ていて
「杏寿郎君も、いい食べっぷりだね。
豪快で気持ちいい食べ方するね。
これは、僕の持論だから。
適当に流してくれたらいいけど。
食べる事を愉しめる人間は、
食べる事を愉しもうとするからね。
美味しい物をどう、美味しく食べようと
するのかそれを考えようとする。
只の食べると言う、生命維持に必要な
活動に付加価値を付与するんだよ」
そう言いながら杏寿郎に
習う様にして豪快に茶漬けをかき込むと
成瀬の品のある普段の食べ方からは
その姿は想像が出来なくて
一瞬面食らってしまったんだが
「うん、美味いね」
「ええ、美味いです。美味い!」
今度は個室に響く様な
美味いを杏寿郎が言うと
成瀬の方が面食らった顔をしていて
二ッと杏寿郎が笑うと
「俺流の、食べる時に流儀みたいな物です。
流石に、場所は選びますが。
こうして、食べる事に感謝しながら
美味い物、これからも
彼女と一緒に食べたいと思うので」
「今夜は、ありがとう、杏寿郎君」
「いえ、成瀬さん」
「一成でいいよ」