第77章 ふたり 一人独り 後編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
ピッと成瀬が視線をこちらに向けて
人差し指を立てると
「でも、杏寿郎君も分かったんじゃないの?
僕と言う人間が、如何に執念深くて
お金も労力すらも、自分のしたい事に
関しては厭わない人間だって事はさ?」
そうか そう言う事か
この話の全容をこんな風にして
わざわざこんな風に店毎貸し切りにして
俺とふたりきりになって
それも みくりを挟まずに
自分が九州まで俺と話をする為だけに
スケジュールを調整して足を運んで
今までここまで 篠田のサークルの
詳細の話までを俺に長々としてたのも
全部そうか 自分と言う
成瀬 一成と言う人間が
どんな人間なのかって事を
俺に見せつける為の方法と手段でしか
この人にとってはない訳でしか無くて
一番敵にはしたくない相手だとは
思わずにはいられないが
一緒に仕事をする相手としては
これ以上の存在は無いのかも知れない
「杏寿郎君なら、将来も有望だし。
僕の会社を足台にして、自分の会社に
して行ってくれてもいいんだけどなぁ~」
「それ、成瀬さんの持ってる子会社を
俺に任せたいって言ってませんか?」
「まぁ、それは酒に酔った口が
言った冗談だと取って置いてくれて構わないよ?
杏寿郎君、僕がこの話をしたのは、
君なら大丈夫だろうと僕の目が
君と言う、煉獄杏寿郎と言う人間を
判断したからさ。割と、目は肥えてるんだ。
僕の目に、見誤りが無かったと、
杏寿郎君。君の口から言ってくれるかい?」
それまでの 掴みどころの無い様な
そんな言い方ではない
成瀬一成の本音でしかない言葉を
成瀬が杏寿郎に対して言って来て
この話を聞いて
俺が真実を全て知っても
それでも彼女を今まで同じ様に
愛せるのか見れるのかと
そう俺に対して真っすぐに
彼がこちらを見据えて問いかけて来るから
彼が みくりの事を
ビジネスパートナーにしたいと思って居るのも
自分の妹の様に思って居ると言う言葉も
偽りはないのだろうと俺に思わせるには
もう 十分でしか無かったから
「結論を言えば、何も変わりません」
「…ーーーーーっ!?」
俺が最終的にそれを聞いたからと言って
自分の中の感情が色々と忙しく
その時々でなったのは事実ではあるが
全てを聞き終わった今は
驚くほどに落ち着いているから
「成瀬さん」
「杏寿郎君?」