第77章 ふたり 一人独り 後編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
その自分を呼ぶしのぶの声に
ハッとして顔を上げると
こちらをカウンター越しに
見上げているしのぶと視線がぶつかる
「ああ、何度かお声をお掛けしたのですが。
調理の集中されておられた様でしたので。
私も、お客さんをしているのに
飽きてしまいましたから、
私にも、夕飯の支度。お手伝いさせて下さい」
そう言われてサラダと摘まめるものを
適当に用意すると
後は卓上で揚げたての天ぷらにしようと
みくりがしのぶに言って来て
秋の味覚である秋鮭に
秋ナスに舞茸にさつまいもを
揚げるだけのして下拵えをして行く
「揚げたての天ぷらを頂きながら
お酒を頂くなんて、お店みたいですね」
「いちじく、買って来てるから。
いちじくを天ぷらにするね。
いちじくは天ぷらにしてバルサミコ酢を
掛けたら、白ワインに合うから。
ワインセラーにある、白ワイン開けちゃおっと」
「ワインセラーがご家庭にあるのですか?」
しのぶが驚いた感じだったので
リビングの隅にあるワインセラーを
これこれとみくりが紹介する
「8本入りのアイリスのだったら、
1万円位で小さいのが買えるよ~。
まぁ買ったのは杏寿郎だけど」
「ペレットストーブもあるんですね。
お高かったでしょう?これは」
そろそろ寒い日も出て来るかと思って
早いなとは自分でも思いながら
出してしまったヤツだ
昨日はしのぶちゃんの家に泊まりに行ったけど
退院してからそれまでの間に
杏寿郎に言われてたのもあったし
じっとしてても落ち着かないのもあって
引っ越しの荷物をまだ使わない
冬服や夏服から纏め始めていたから
「ワインセラーにペレットストーブに、
ハンモックまでお家にあるなんて。
やはり、コロナの影響ですか?
後はホームシアターでも買って
立体音響対応の
お高いスピーカーでも買えば…
お家時間が更に充実しそうですね」
「お高いスピーカーかぁ、
うちのアレクサが出番が減るから
嫉妬するかも」
「ふふふふッ、みくりさんらしいですね。
お家のアレクサさんの心配ですか?」
パチパチと音を立てて
みくりが卓上のフライヤーで
舞茸を揚げていく
「揚げたての、天ぷらなんて
間違いないに決まってます。
それも、舞茸の天ぷらなんて…ッ」
「舞茸は、天ぷらが最強だと思うの。
他のその辺で買えるきのことは別格」