第19章 惣菜屋さんと煉獄さん 前編 お相手:煉獄杏寿郎
次の日……
何だろう 気のせいではないような?
トキ叔母さんの視線が私の
全身にくまなく注がれていて
凄く 見られているのが分かる
「ねぇ、トキ叔母さん。どうしかした?
どこかおかしい?」
「気付いてないのかい?アンタ……恋でも
しちまったね?ズバリ、お相手はあの
煉獄さん家の坊ちゃんかい?どうなんだい?」
「こっ、恋なんてしてないって!
そんな訳ないでしょ?それに、彼とは、
歳が離れてるし?その、…一緒に祭りに
行くだけだからっ……、
そんなんじゃないしっ。あっ」
言ってしまってから しまったと
気が付いた所で後の祭りで
ニヤニヤと笑みを浮かべながら
トキがこちらを見ていて
「あら~、良かったじゃないの。
お誘い、煉獄の坊ちゃんから貰ったのかい?
だったら、丁度良かった……。
これ…アンタにやるよ。
改装するから、店終いするって
言ってた呉服屋で買ったんだ」
はいっと包みをトキが差し出して来て
みくりがそのままその包みを受け取って
「トキ叔母さん、これは?」
「まぁまぁ、開けてみなよ」
そう促されるままに包を開くと
そこには一枚の浴衣が入っていて
「折角の祭りなんだ、浴衣だろ?まさか……
いつものあの地味な何年も着てるやつで
行くつもりだったんじゃないだろうねぇ?」
「でもっ、わざわざその為に新調したら…
凄く嬉しい人…みたいじゃない?」
「だったら、丁度いいじゃないか。
これは私からアンタに
贈ったもんなんだからさ」
「そ、それはそうだけども……」
トキ叔母さんは私が赤ちゃんの時から
私の事を知ってる訳だから
私のこんな性格だって知り尽くしてる訳で
その 私が 煉獄さんに……
祭りに誘って貰えて 浮かれてるって事も
全部全部 お見通しって事で
「着て行きなよ?
アンタの好きそうなの選んだんだ」
藍色の生地に 白と水色の朝顔の柄の浴衣
朝顔の柄……の浴衣か