第77章 ふたり 一人独り 後編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
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2022年 9月27日
PM 8:20
神南港市 某ホテル 35階
鉄板焼きを提供している
そのホテルのレストランの個室に
宇髄の姿はあった
「でさぁ、俺としては疑問なんだけどさ。
何で、俺な訳?アンタからメールが
会社のHP経由で来た時は俺も
驚いたよ?煉獄に言えば済む話じゃね?」
グラスの中の赤ワインの
香りを楽しむ様子もなく
水か何かの様に飲み干して
置いてあるボトルから
ドボドボと空のグラスにワインを継ぎ足す
不機嫌そうにしながら
宇髄が目の前の男に話しかけるも
目の前の男はだんまりを決め込んでいる
「お前さ、喋れない訳?
お前がさ、俺と話したい事があるって言うからさ。
俺は、わざわざ日本まで来て、こうしてさ
アンタと話す時間作ってるんだよ?
俺だって暇じゃねぇの。あの事件の事は
終わったと思ってるからな、あの時に」
「…篠田…から、その話は聞いてます。
宇髄さんには、インカレで世話になってたから。
ボーイズでも”ジャック”でも無いけど、
”身請け”させたんだって言ってましたから」
「随分と手荒な真似…、学内でしてたんだろ?
アイツ等が、俺を止めたから、
俺は、許した。それだけ」
その宇髄の赤い目がその男を
視線だけで殺せるぐらいに鋭く睨みつける
目の前の男は黙り込んだままで
宇髄のその言葉に返事を返せないでいて
「煉獄に、自分で話せよ。
俺を都合よく、使おうとしてんじゃねぇよ。
なぁ、黒瀬。お前の口は…、何の為に
付いてんだよ。俺はお前みたいなやつが。
この世界で、一番…大嫌いなんだわ」
カタンと宇髄が座っていた席を立つと
テーブルの上のあったワインの
ボトルを手に取って
グラスに注ぐ事もせずに
その瓶の口に自分の口を付けて
ゴクゴクと喉を鳴らして飲み干して行く
「お前の考えてる事なんて、
俺にはお見通しな訳。どうせ、
篠田が刑務所から出て来るから。
みくりの事、なんとかしろって
俺に助けを求めに来たんだろ?ご苦労さん」
「お、俺…は」
ワインのボトルを手に持ったままで
宇髄がテーブルの上に腰を下ろすと
上から圧を掛ける様にして
座っている黒瀬の顔を睨みつける
「お前の所為じゃねぇのかよ?黒瀬」
「ど、どうして…それをッ」
「俺を、誰だと思ってんの?宇髄天元様よ?」