第19章 惣菜屋さんと煉獄さん 前編 お相手:煉獄杏寿郎
「ああ。日付を言えば、お察し頂けるかと
思い込んでしまって居たか。
みくりさん。俺と共に、祭りに行っては
貰えませんでしょうか?」
「ええ、構いませんよ」
と私が答えると
目の前の煉獄さんは
酷く驚いた様子だったので
「あの、どうか……なさいました?」
そう問い返した
私の言葉に面食らった様子だった
煉獄さんはいつもの表情に戻って
「いえ、いつもお断りされているので。
お受けして頂けると、思っておりませんで。
少しばかり、面食らってしまっていたようだ」
「お言葉ですが、煉獄さん。
求婚と祭りの誘いは、雲泥の差かと……」
「………………そう、でしたか」
いつも勢いのない様な
そんな力ない様子で彼は
こちらに問いかけて来て
「普通は、そうだとう思うのですが……。
煉獄さんには、そうではないと
…言う意味だったり…?」
そうこちらが煉獄さんに対して
冗談めかして言うと
「え?いや、
…そう言う意味だったのですが…」
さもそれは当然とばかりに
普通に返されてしまって
彼の中では少なくても
それはそうだと言われている様な物で
一瞬どう返したらいいのかと
返答を返しそびれていると
「だが、良かった……。仕事を急いで
終わらせて戻った甲斐があったと…。
ああ、いえ、何でもありません。
只の独り言です故」
「え、あ、はぁ……」
何とも言えないような
気の抜けた返事を返してしまったが
ドキドキと…
その彼の言葉から推測してしまった
内容が自分の脳裏を駆け巡ってしまって
どうにも 心臓が喧しい
だって さっきの言葉の意味する所は
煉獄さんからすれば その……
私に求婚をする事と
私を祭りに誘う事は
あまり大きな差がないと言う事であり
それは 絵に描いたような
典型的な明朗快活である
彼らしい考え方なのかも知れないが…
「なら。当日の夕刻にお迎えにあがります」
「はい、分かりました。
……その、良かった…んですか?」