第77章 ふたり 一人独り 後編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
みくりさんどうか…
ご無事で居て…下さい…ッ
しのぶは自分の胸の目で
ギュッと手を握って
その様子を静かに見守っていた
その様子を
冨岡は少し離れた場所の
マンションの屋上から見ていて
「冨岡です。もうすぐ、警察が動きます。
警察にはちょっとした知り合いがいるので。
しかし、良かったのですか?
煉獄と、月城を接触させてしまって」
そう電話の向こうの雇い主に
問いかけると
『いいよ、冨岡君。それ位は別に。
彼女は僕が知らないことを知ってるし。
君が拾ってくれた会話も、
届けてくれてありがとう。
彼とは、水曜日に会う約束をしてるからね。
なら、君は引き続いて、仕事を頼むよ?』
ピッと言いたい事だけを言って
冨岡からの報告の電話を切ると
座っていた椅子から 成瀬が立ち上がり
大きな窓の前に立つと
閉じていたカーテンを開いた
窓の外に広がる
夜景をに目を向ける
自分のグラスに入っている
ワインに口を付けようとして
それをテーブルの上に無造作に置くと
用意されていたシャンパンに
プレゼントの様にして掛けられている
リボンをシュルシュルとその手で解いた
シャンパンの栓を抜いて
2つのグラスに注ぐと
一つのグラスをその窓の縁の部分に置いて
自分の手にある
グラスを掲げて 口を付ける
「随分と…時間を掛けすぎてしまったが
これで、ようやく、君との約束を
僕は果たせそうだよ?奏くん」
そう 誰も居ない窓に向かって
成瀬が問いかけて
「今夜で、ひとつ荷物が片付くからね」
クイッとシャンパンのグラスを傾けると
「ん~、いつ飲んでも美味しいけど。
今夜のは、一段と美味しく感じるねぇ。
さてと、河田に関する事は河田だけじゃ
終わりには出来ないし…、僕も…
何も河田克己一人の為にこんなに
時間を掛けてた訳じゃないんだ。
害虫を駆除するなら、根絶やしにしないとね?」
トクトクと新しいシャンパンを
縁のギリギリまで注いで
表面張力で零れない所で止めると
「もう、ここまで準備は出来てるんだ。
後は、これに、仕上げの1滴を
僕が注いでやればいい。いつまでも
それがまかり通るなんて、思ってると
足元をすくわれるって話」
そのギリギリの液面にツンと指を触れると
波紋が表面に広がって行く
「明日の朝が楽しみだ」