第77章 ふたり 一人独り 後編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
目の前の寝てる方である
木崎先輩の上着のポケットに
小型の盗聴器が仕掛けてあった様で
今までの会話も聞いていた様だった
『ああ、勿論だが。こっちと
同時にあっちの会話も聞いている。
依頼主には、みくりが絡む時には
好きにしていいと言われてるからな』
「冨岡、そんな言い方しなくても
分る様に言って置いて、どう言う
つもりなんだ?成瀬さんなんだろう?」
『………』
それまで普通に会話をしていた
冨岡との会話が途切れて
「冨岡?どうしたんだ?冨岡…?」
『煉獄、悪いが、後だ。
あっちが動き出すからな。俺も動く』
ツー ツー ツー と電話が切れて
冨岡は俺を安心させようと
電話をして来たんだろうが
あっちに何かあったと知れば
俺は落ち着いては居られない訳なのだが
「成瀬 一成…さんの事ですよね?
私も、兄に引き合わせて貰って
お出会いした事があります。
成瀬さんは、兄の数少ない友人の一人ですから」
「驚いた…な、成瀬さんは
奏さんと面識があったとは。いや、
何かと知り合いが多くて顔が広そうな人だから。
貴方のお兄さんと面識があっても良さそうだ」
「言いがかりをつけられたと
兄は言っておりましたが?
お前が俺の可愛い妹をたぶらかすから、
妹が地元に寄り付かなくなったんだと…。
タピオカスタンドに怒鳴り込んで来て、
クレーマーか何かかと思て
よくよくお話を聞いて行くと、
みくりさんとは、
血縁関係ではなかった様で、
話している内に、意気投合したようですが」
あの人の脳内では
みくりが渡辺君と別れたのは
奏さんがみくりをたぶらかしたからだと
そんな風に思ったんだろうな
あの人はみくりを地元に
卒業後は引き戻すのに必死だっただろうし
「ああ、確かにあの人なら…と
そうしかねない所はありますね…」
「その、成瀬さんが兄の事を
興信所を使って調査していたのは
兄も知って居ましたらから」
だからか? 月城奏は
みくりと自分との交流関係は
クリーンなのだとわざと
興信所に情報を掴ませてたのか
成瀬さん程 敵に回すと
面倒くさそうな人は居ないからな
みくりと交流をしながらも
彼女が成人するまでは
そう言った関係には持ち込まなかったのか
「その、兄は…
それを仕事にしておりましたので」