第77章 ふたり 一人独り 後編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
ーー
ーー
ーー
それから 美味い料理と美味い酒のお陰で
充実した博多の時間を過ごしていたが
どうにも こう落ち着かないな
今 みくりが河田と一緒だと思うと
飲んでる酒の味もぼやけてしまう
料理も美味いし
ここにみくりが居たらと思ってしまう
ふぅ…と杏寿郎がため息をつくと
「月城さん、奏さんの話をする前に
俺は、貴方に謝らねばならない事がありまして」
そう杏寿郎が嘘をついた事を
月城に対して謝ろうとすると
ううんと首を横に振って来て
「いいんです、煉獄さん。
煉獄さんは、兄の…。
奏兄さんの知り合いではありませんよね?
兄は、その自分からあまり親しい人を
作ったりしない人でしたので」
「月城さんは、奏さんの妹さんで?」
「私と、兄は、
実際の血縁関係では…ありません。
私達…は無戸籍ですから。ある施設で。
飼われていた様な物です…。動物の様に。
お金持ちの子供の、臓器提供のドナーとして。
売られる場合が、一番高く売れると」
木崎が驚いた様な顔をしていて
「え?それ、日本の話?
映画か何かの話…??」
「勿論、無戸籍ですから…。
存在すらが無い様な物ですので。
日本に来た後にも、苦労は多かったのですが…。
兄は、私がまともに勉強をして
会社で働けるようにと、あれこれと
汚い仕事にも、昔から手を出していたので」
月城が自分の飲んでいる
グラスの中に視線を落とすと
天井から下げられているライトが
その酒の表面に満月の様に映る
「城跡の様な、石垣のある場所で
自生してる食べられる物を食べる様な
そんな生活をしたりしてまして…。
その時に石垣の上から、月を見上げて。
兄が、私に、いつか、お城みたいな家に
住めるようにしてやるからと…ッ。
信じられませんよね?こんな話…。
でも、嬉しかった…ので、兄を知ってる人が
憶えていくれている人が居た事が…」
「月城さん…、やはりお兄さんは…」
「兄は、あの時…、ある組織が
自分の組のシマで薬物を流してると。
それを調べてると言ってましたが。
阪大での事件を警察にタレコミしたのは、
私の兄です。でも、その薬物の流れは
阪大の中だけでは、その時には既に…
収まって居なかった様でしたから」
元々は阪大のそのサークルが
隠れ蓑になっていたが
奏さんがそれを知った時には…もっと