第76章 ふたり 一人独り 中編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
月城が美味しいと言う
駅から少し離れた
大通りからは1本逸れた
人通りもまばらな場所にある
雑居ビルの6階の居酒屋に
俺と木崎先輩を案内してくれて
客層も博多から3駅離れた
大通りに面している店でないので
地元の会社員の集まる店の様だった
個室ではないが
簾の様な物で 半個室の様に
それぞれのボックス席が区切られている
席に着くと
水とおしぼりとお通しが出されて
月城が メニューを
こちらが見やすい様に方向を整えると
杏寿郎と木崎の前のテーブルに置いた
「ここは、地元福岡のお酒の種類が豊富で。
自家製の明太子も食べられますから。
オススメは、馬刺しと地鶏のタタキですけど」
「ええっ、これ、すんごい美味そうじゃね?
牛タンの霜降りの部位の串焼きだってさ」
そうお店のオススメなのか
他のメニューとではなく
霜降り牛タンの串焼きだけが
別の1枚もののメニューになっていて
「それ、凄い美味しいですよ?
分厚い、厚切りの霜降りの牛タンで。
柔らかいんです、脂も上品で。
ここに来たらいつも…っ、すいませ…ん」
お酒も飲んでないのに
普段の口調からは想像できない様な
砕けた口調で説明をして来て
もしかしたら 月城さんは
みくりと話が合うかも知れないと
そんな事を考えていた
とりあえずの 生ビールを注文して
その美味しいとオススメされた
厚切りの霜降り牛タンと
馬刺しと地鶏のタタキと
適当に焼き鳥を注文した
すぐに届いた 生ビールで乾杯をして
そのビールを傾けると
「月城さんは、同僚とは
あまり飲みには行かれないので?」
「入社した頃は、行ってたんですが…」
誘いには最初は乗っていた様な
口ぶりで月城が言って俯いてしまって
何かそれはそれでトラブルがあったのだろうが
「男は、口説きに来るだけだったとか。
分る分かる、月城さん美人だもん。
博多の壇蜜と、ビール飲んだって
俺も二田の奴らに自慢したいもんな~。
ああ、冗談だけど」
「ああ。俺には妻が居ますし、
木崎先輩にも婚約してる恋人が居ますから」
「ええ、だから…なのかも知れません。
あ、いえ、何でもありません。
ここのお料理は間違いありませんし。
お酒もどれも美味しいので」
成程…
俺と木崎先輩なら大丈夫だと
彼女が判断したから
俺と先輩をこの店に連れて来たんだな