第76章 ふたり 一人独り 中編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
そう月城が準備のために
先に部屋に戻ろうとしつつ
杏寿郎に声を掛けて来て
「月城奏の事で、話したい…ッ」
「では、また、研修が済んだ後でも?」
「わかりました、では私は先に戻ります」
その月城と杏寿郎の顔を
木崎が交互に見ていて
心配そうな顔をしているから
「木崎先輩。貴方を
信用してお願いがあります」
「ええっ。あっ、えとぉ
奥さんには黙っとけってやつ?」
そう恐る恐る木崎が尋ねると
物凄い形相をして杏寿郎が
木崎を睨みつけて来て
「先輩、俺には彼女と話したい事があるが。
ふたりきりにも、なりたくない。
先輩、申し訳ありませんが、この話。
俺の為に、巻き込まれて貰っても?」
杏寿郎の言葉に木崎が
うーんと唸りながら
自分の額を人差し指で押さえて
うんうんと頷くと
「んー?まぁ、ここまで
聞いちゃったし、無理ですって言うのもな。
あー。じゃあ、今夜はお前の驕りとか?」
「ありがとうございます。先輩。
感謝してますよ、本当」
「なぁ、煉獄さ」
「何ですか?先輩」
「その月城奏て人さ、誰?」
まぁ 当然のリアクションだな
俺と彼女の会話と
あの彼女の動揺を見れば
「うーん、簡単に説明すると。
俺の妻の、元彼です。
後、ついでにお願いするんですが」
「はいはい、訳アリなんだろ?
そんな空気してるってバリバリにっ。
口外するな、だろ?心得てるって」
後頭部をボリボリと書きながら
そう木崎が言って来て
その様子を見ながら
杏寿郎が口の端を上げると
「流石、先輩。
空気が読める男なだけはある」
「んなの、言われなくても分ってるし。
木崎さんの空気読み舐めるなよ?
まぁ、俺達も、戻るかあっち」
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ーー
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時を遡る事
数時間前
女性専用車両での通勤は
全くトラブルもなく出社したのだが
問題が起きたのは
会社のドアをくぐってからだ
ついてないと みくりは思っていた
ドアくぐった瞬間から
待ち構えていた様に
杏寿郎に気を付ける様に言われていた
河田克己がすぐ隣に来て
「おはよ~。あれ?みくりちゃん。
今日はご主人と一緒じゃないの?珍しい~」
この人 苦手…ッ
パーソナルスペースに
平気で入って来るから
「おはようございます。河田さん」
てか 距離が近いし…
肩が当たりそうな距離だ