第76章 ふたり 一人独り 中編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
そう杏寿郎が言いながら
月城に頭を下げると
「研修は遊びではありませんので。
あんな風に、私を見るのではなく
講師の先生に注目をして頂きたく…ッ」
「失礼、髪にゴミが」
ほら取れたと月城の髪に付いていた
小さな綿埃の様なゴミを
杏寿郎が見せて来て
「すいません、虫か何かかと
蜂の様な刺す虫でしたら危ないので。
それが虫かどうか確認したくて、
必要以上に貴方を注視してしまって居た様だ。
蜂が入っていたのが、見えていたので。
女性をジロジロと見つめてしまい、
失礼をしてしまって居た様で申し訳ありません」
コロナの対策で窓は換気の為に開いていて
確かに小さな黒い蜂の様な虫が
飛んでいたのは俺も知ってるけど
絶対噓も方便だよなと
木崎は杏寿郎の言葉を聞いていたが
「別にでしたら…良いのですが…ッ」
「それに、女性が好んで使用する様な
香水や柔軟剤には、蜂が好む香りの
物もあるようですので。まぁ、
先程のご様子でしたら、その
香りに吸い寄せられるのは何も
蜂ばかりでもない様でしたが」
煉獄…口説いてるんじゃないんだよな?
俺 ここにいるし
その杏寿郎と月城のやり取りを
木崎は見守るしか出来ないままで居て
「私は、昆虫採集には趣味はありませんので」
自分に集って来る男には
興味ないって事っ
流石 博多の壇蜜様…
モテる女は言う事も違うわ
「はははは、色々とご苦労も多そうだ。
ああ、そうだ。貴方の苗字…。
あまり、耳に馴染みの無い様にある」
「月城は…そんなに多い
苗字ではありませんので」
「だったら、もしかしてと思って
お尋ねをしたくあるのですが。
貴方と同じ苗字の男を、知っているのですが」
俺のその言葉に
目の前の彼女の顔が変わったのが見えて
隙を見せるタイプじゃないから
変化はほんの一瞬だったが
もう少し…核心に迫るか
「彼とは長らく会ってないのだが、
元気にされているだろうか?奏さんは」
今までの難攻不落の城の様な
硬い城壁が その名前ひとつで
こうも崩れるのか
凛とした態度の女性だろう彼女が
その名前をひとつ 出されただけで
今にも泣き出しそうな表情に変わって
「れっ、煉獄さんは…、奏を…ッ、
月城…奏をご存じなのですか?」
「もっと、奏さんの事をお話したい所だが…
休憩が終わってしまいそうだ」
「あのっ、後で…」