第19章 惣菜屋さんと煉獄さん 前編 お相手:煉獄杏寿郎
「いい男じゃないのさ。うかうかしてると、
誰かに持って行かれちゃうかもねぇ」
「………、その方がいい」
そう みくりが静かに言って
「私なんかと、どうこうなるよりも、
彼にはその方がいい……。その方がいいから」
「みくり、アンタ……。
そうかい、でも後悔……するんだったら。
なぁーんもせずに、後悔すんじゃなくって、
してから後悔したらどうだい?」
「それは、トキ叔母さんは私に、
…彼とお付き合いでもしてみたらと、
言いたい訳?」
「何も、お付き合いが難しいってんだったら、
どっかに出かけるだけでも、
いいんじゃないかい?ああ、そうだ。
丁度祭りがあるじゃないか。その日は、
どうせ店は休むんだし、どうだい?」
24日盆は
夏の終わりを告げる大きな祭りで
盛大に花火も毎年打ち上げられている
トキ叔母さんは それに
彼と一緒に行ったらどうかと
私に提案して来たのだ
確かに求婚を
いきなり受けるのは難しいけども
なにせ 年齢の差があるし……
だったら
恋人として交際をと言うのも
確かに 気が引けるけど……
だったら 一緒に出掛けるくらいなら
結婚や交際…と言うよりは
遥かに 抵抗が少ない気がするし
私が
年齢差を気負いする必要もないけど
でも 問題があるのなら
私は彼に 共に祭りに行きませんか?
とは誘われておらず
かと言って こちらから
もしよろしければ
祭りにご一緒しませんか?とも
言い出しにくい物であるのもある…
「…うん、そうね。考えておく……」
そうどっちつかずな返事を返した