第76章 ふたり 一人独り 中編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
早く… 帰って来て…ね…
みくりは そのまま
眠りに落ちて行った
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いつも 寝る時間には早いから
LINEでもしようかと思ったが
既読が付かないし
みくりからは早めに寝るねと
LINEが来ていたから
「もう、眠ってしまったのかもな…。
俺も、寝るか…」
木崎の眠っている
隣のベッドに横になる
明かりを落として
しばらくすると 暗闇に目が慣れて来る
ホテルのいつもと違う部屋の匂いと
いつもと違う天井と
いつもと違うベッドと枕
いつも寝ているベッドよりも小さいベッド
ひとりには大きめのサイズ感だが
クイーンサイズのアパートの
ベッドに比べると随分と狭いと感じる
夢を見てるとみくりは
しっかりとした寝言を言うので
話し掛けられたのかと思って
夜中に目を醒ましても
隣から彼女の寝息も聞こえないし
その寝顔を眺める事も出来ないのか
旅行には良く行くから
ベッドが変わる事も
枕が変わる事もあるが
それでも 俺が
どこでも良く寝れるのは
隣にみくりが居たから…だったんだな
ふぅーーーっと
長いため息を漏らすようにして
杏寿郎がついて
ゴロンと天井を仰ぐ様に寝返りを打つと
「こんな調子で、5泊もか…。
研修が始まる前から、先が思いやられるな」
スマートフォンのアルバムを起動して
カメラで撮影した画像を
新しい物から順番に見ていると
その画像を撮影した時の記憶が
画像と一緒に蘇って来る
隣には居ないが 彼女の
存在を感じる事が出来て
画像を遡っている内に
アクアトピアでの結婚式の時の画像になって
赤いカラードレス姿のみくりの
画像が続いて
「そうだな。みくりは
俺の奥さんなんだし、来月には
新しい家に引っ越すんだ。
子供だって作る事に同意してくれたし、
はっきりと欲しいと言ってくれたからな。
彼女の方からも、その為にも
俺は彼女の夫としての務めを果たすまでだな」
ボスッと枕に自分の頭を
杏寿郎が沈めると
アルバムを終了して
スマートフォンを枕元に置くと
成瀬さんの口から語られる事実が
どんな内容だったとしても
俺は彼女を夫として支えるまでだ
みくりが口癖の様に言う言葉…
杏寿郎だから とか
杏寿郎だったから… の