第76章 ふたり 一人独り 中編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
それでも 今 この束の間の時間に
杏寿郎を感じて置きたくて
欲張ってしまっているから
「んんっ、はぁ、杏寿郎っ
あぁあんっ、杏寿郎…ッ、あぁあんッ」
「みくり…ッ、ハァ…、
目、閉じないで開けてくれるか?
俺の目を、見ててくれないか?」
ギュッとその杏寿郎の言葉に
胸が締め付けられる
見逃さない様に 聞き逃さない様に
彼が私の反応を拾い集めていて
それを自分の中に留めようと
してくれてるのを感じている様に
その姿と仕草を…
開いた目から私も
自分の記憶の中に留めようとして居たから
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それから いつの間にか
眠ってしまって居た様で
肌寒さを感じて目を醒ますと
隣に いつもある気配は無くて
しーんと部屋の中は静まり返っていた
杏寿郎は出て行っちゃったんだなと思って
薄暗い室内を見回して
しんみりしてしまいつつ
もそっとベッドから身体を起こすと
スマートフォンを手探りで
探り当てて引き寄せると
時間を確認する
25日の15時半ぐらいで
13時過ぎには家を出ると言っていたので
何時 杏寿郎が家を出たのかも
記憶には無かったから
その前から寝てしまって居たんだろうけど
「とりあえず、昨日のバスタオルとか
このシーツも洗濯しないと…。
杏寿郎が着てたパジャマとか…」
ベッドのシーツを外して
洗濯機の方へ行くと
洗濯カゴに杏寿郎の着てたパジャマと
昨日のバスタオルと昨日の着てた物が
入って居たのでそれを洗濯しようと
先にシーツを入れて
入る分だけと思いながら
カゴから洗濯物を移して行くと
ふわっと杏寿郎の香りが
彼の着ていたパジャマからして来て
手に持っていた
杏寿郎のパジャマを洗濯機に入れずに
握っていた手を無意識に引っ込めて
しまって居て 彼の痕跡とも言えるそれを
自分の手元に留めて置いてしまっていた
「洗濯機、いっぱいだし…
こっちは、明日洗えばいいかな?
杏寿郎が帰って来るまでに
洗えてたらいいし」
そう洗濯機が一杯なのを理由にして
そのパジャマを洗うのを
後回しにして そのまま置いて置いた
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その頃
杏寿郎は 福岡に向かう新幹線の中だった
近くからは新幹線には乗れない場所だから
不死川や伊黒が勤務している
本社の方に車を置かせて貰う事にした