第75章 ふたり 一人独り 前編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
『お前さ、うちのボーイズじゃねぇよな?
それに、アイツには…身請け…はねぇよ』
その当時は その篠田の言葉の意味が
全く分からなかったのだが
篠田はある日突然 姿を消した
篠田の取り巻きをしていた
派手な美人のグループも
俺に絡んで来る事も無くなって
そのグループ自体も
知らない内に自然消滅していて
別々に個別のグループになって居て
みくりは俺が
何かアクションをしてくれたから
篠田が居なくなったと
勘違いしてる感じで話をして来て
俺としてはその誤解を解こうとしたが
彼女の方はそれを疑う様子がなく
彼女は自分は篠田と別れたと思っているが
俺の方の認識は篠田が忽然と消えただけだ
最初の頃は誤解だと俺は何も
していないと説明はしたが
友人としての交際をし始めて
それが恋人同士の付き合いになる頃には
そんな話が話題になる事もなくて
次のデートはどこに行こうかとか
卒業旅行はどうしようかとか
そんな話題にすり替わって行って
その篠田と言う存在すらも
歳月の流れと共に
俺の中からも彼女の中からも
無くなって行ってたんだ
そう 少しずつ
その事実も無かったんじゃないかって
今の俺が思ってる様に
きっと 目の前の彼女も…
望んでも居なかった相手との交際の過去なんて
無かった事になってるに違いない
宇髄先輩から聞いた
篠田がある日大学から忽然と消えた理由は
彼が関与した 複数の強姦事件と
複数の脅迫事件が原因で
服役していた…のだと
メディアでの露出は一切無かった
宇髄との小さな公園でのやり取りを
杏寿郎は思い出していた
ーーー
ーー
ー
その篠田の情報は誰からと
世間にも出てない情報の出所を
宇髄先輩に問い詰めると
黒瀬でも成瀬さんでもなくて
『実はの話、すんだけどな…
成瀬さんに、篠田のヤツの事をさ。
リークしてたヤツが居るんだわ』
随分と 勿体ぶって来る
思わせぶりに大袈裟に話をする人ではあるが
『で、それは誰なんですか?』
『まぁ、そう、イライラすんなって。
大学のさ、近くにタピオカ屋あったの
お前、憶えてる?俺さ、あそこの
抹茶ラテずっと飲んでたんだけどさ』
大学の近くのタピオカスタンドは
奏さん…の経営していた店だ
『その店の店長、知ってる?
月城奏、って人。奏サン』