第19章 惣菜屋さんと煉獄さん 前編 お相手:煉獄杏寿郎
「はい、いつもありがとうございます。
すぐにご用意致しますので。
量はいつもの量でいいですか?」
「ああ。それで、お願いしたい」
後 この人はさつまいもの
惣菜が好きみたいで
毎回 うちに来るたびに
凄く沢山買ってくれるから
こっちとしては ありがたいお客さんだ
「後それから、…みくりさん。
この前の返事を頂きたいのですが?」
この前の返事と言われて
みくりが自分の記憶を辿る
この人… ええっと
彼の名前は… 煉獄 杏寿郎さん
歳の頃は…… 確か20だったかな?
「あの、その件について…なのですが……。
前々から、何度も……
お断りをさせて頂いておりますし」
「だが、貴方は毎回その様に言われるが。
前にそう俺がお伝えしてから、
ひと月が経っている。貴方の気が
変わりうる事も、あるのではないかと……」
「しかし、気が変わるのは…、難しいかと。
私は、もう歳も26ですし……?
一度嫁いで、その、出戻った身ですから。
私は……所謂、石女ですので。
当然、子供も望めませんし…。
そう言ったお話は全て
…お断りを…させて貰ってますので…」
そう言いつつも
惣菜を手際よく包むと
杏寿郎の前にどうぞと置いた
「ははははは。なかなかに貴方は、
身持ちが堅くてあられる。
だが……、大和撫子たるもの、
そうである方が、
好ましいものではあるにはあるが。
もう少しばかり……」
その続きは結構と言う意味を込めて
杏寿郎の言葉を遮って話をする
「あの、煉獄さん?
何度仰って頂いても、答えは同じですよ?」
だが
言葉を遮られたのにも
関わらず
目の前の彼は にこやかな笑顔だ
「ほら、俺の言った通りだ。
手厳しくもあるが。またそこも、
魅力的であられるな。貴方は先程、
もう26と言われたが、まだ26。
先は長い。みくりさん。これからの人生を、
俺と共に過ごしては頂けないだろうか?」
今 その前にされていた求婚を
お断りした所なのに
また 求婚されてしまった