第75章 ふたり 一人独り 前編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
十分過ぎるほどに十分だ
杏寿郎の手が 服を捲り上げて来て
ブラが明るみに晒される
いつもだったら 後ろを外して
上げるなり下ろすなりするのに
その時間すらも惜しむ様にして
グイっとカップの部分を降ろされてしまって
そのまま 胸の先に吸い付かれてしまって
彼のらしからぬ行動に
頭が混乱してしまう
いつもの彼だったら…ッ
胸の先をわざと避ける様にして
全然 そこに触って来てもくれないのに
「はぁ、ん、ふうっ、
んっ、んぅ、…はぁ、…んんッ」
上の服をそのまま剥ぎ取られる様にして
杏寿郎に脱がされてしまって
上の服だけでなくて
そのまま 履いている
部屋着のハーフパンツにも掛かって来るから
かなり 性急に服を脱がされているのは
こっちにも分かるから
「んっ、待って?杏寿郎…ッ。
私は、ここにいるし、逃げないから…ッ。
それに…っ、こっちばっかり、脱がせすぎッ」
そう自分の不満を露わにすると
ちぅ…と頬に杏寿郎がキスをして来て
「どうにも、今夜は…気が急いて
しまっていた様だな…、悪かった」
杏寿郎を急かしてるのは
きっとしばらく 離れるからって
言うのもちょっとはあるのかも知れないけど
私が奏さんの話をしたから…?
それとも その後の話を
話さずに濁したから?
「ねぇ、杏寿郎…」
「ん?どうした?俺も脱ぐか?」
「大丈夫…だと思うから、そのまま…来て?」
「いや、俺の気は急いていたかも
知れないが…だな、そう言って貰わずとも」
スルッと縋る様にして
みくりが杏寿郎の肩に手を回して来て
自分から杏寿郎の唇に
自分の唇を重ねて来て
「抱いて?杏寿郎…、このまま…ッ」
何も言わずに 抱いて欲しいと
望まれるままに
身体を繋げたとしても
俺と君との間の
今のこの距離が埋まらない事位は
俺の頭にも 分かり切っている
そのまま 望まれるままに
そうして身体を重ねて
煮え切らない様な感情を持て余してしまう
熱を吐き出して 身体は満たされていても
自分の頭も気持ちも何ひとつ
納得らしい納得はしてくれなくて
彼女は俺にそれを話したがらないし
そんな事を杏寿郎が考えて居ると
キシ…と小さな音を立てて
ソファが軋んで
彼女がむくっと身体を起して
俺の顔を覗き込む様にして見て来るから