第75章 ふたり 一人独り 前編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
自分でも不思議だ…と思ってる
自分が 今ここに
杏寿郎と一緒に居る事 その物が
不思議だって思ってる
奏さんが突然居なくなって
その後もずっと…
周囲にも そんな得体の知れない
そんな男の事なんて忘れろと
男なんて星の数ほどいるんだからと言われても
それでもあの時の私は
彼以外の男性なんて考えたくもなくて
彼が 奏さんが…いつか
ふらっと私の所に
戻って来てくれるんじゃないかって…
そんな都合のいい事が
現実になる事ばかり 考えていたから
そう だったのに…ッ
ずっと彼の帰りを待つ世界に
篠田は私を居させてはくれなくて
言いなりになるしかない日々を
ただ 静かに
自分の身に起きている事を
他人事の様に傍観しながら
人形の様に過ごしていただけだった
「ねぇ、杏寿郎…」
「どうかしたのか?みくり」
「杏寿郎は、篠田にどう言ったの?
私から言っても、あの人が言っても
別れてくれなかった…のに」
あの人…と 彼女が言って来て
あの時に 篠田に対して
みくりと別れて欲しいと言って
頼んでいたのは
俺だけじゃなかった…のか?
「みくり、話は…後でな」
「んんっ、はぁ…、杏寿郎…んッ」
みくりに聞きたい事は
俺の中には山ほどあった
伊藤明日香が自殺した
本当の理由を彼女が
知っているかも知れないし
それに何より
奏さんと別れて
そう時間が経っていないのに関わらずに
篠田との交際を始めた理由についても
どうして 篠田は
みくりを自分の手元に置きたがったのかも
そして 今 話した
俺以外に篠田とみくりを
別れさせたいと思って居た
その為に動いていた人物の事も
根掘り葉掘りに
その一つ一つを暴く事よりも
彼女その物を自分自身で感じたくて
そのまま みくりの
身体を強く抱きしめると
唇を重ねた 舌を深く彼女の口の中に差しこみ
その口の中を隅々まで味わった
「んぅ、はぁ、あぁ、…んんぅ」
その反応の一つ一つを
この目で見て この耳で聞いて
この肌で感じて 感じ取りたいと
自分の糧にでもするかの様にして
自分の中に 記憶として刻み付けて行く
あの成瀬さんが勿体ぶる様な話で
その上に さっきの宇髄先輩の話も…
俺の不安を煽るには…