第75章 ふたり 一人独り 前編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
「杏寿郎は、夏とか秋とか関係なく、
一年中ビール飲んでるじゃん」
「ははははは、それもそうだな。
と言うか、本当に好きなんだな。それ」
サツマイモの茎の煮物を
嬉しそうにもくもくと食べているので
「あー、確かに、あの家でも
私が、一番食べてるかも?茎は」
今日は金曜日で
杏寿郎は日曜日にはここを出るって
言ってたのに 昼間にしようって
全然言って来なかったな…
6日も離れるのに…
いつもの杏寿郎だったら
離れる予定とか無くても
週末は割と…朝も昼も関係ない感じなのに
むしろいつもの週末よりも
物足りない位にしか…してない気がする
それに急に昔の彼の事を聞きたがったりとか
ここの所の杏寿郎は変な感じがする
杏寿郎が洗い物をしてくれると
言ってくれたので
後ろから邪魔をする様にして
ギュウッとみくりが
杏寿郎の身体に抱きつくと
「…今は、洗い物の最中なんだが?」
スルッと後ろから自分の身体に
引っ付いていた感覚が離れて
「うん、そうだね、ごめん、邪魔して」
そのまま 離れて行ってしまって
いつもならハンモックで俺が来るのを
待ちながらスマホを弄っているのに
ハンモックではなくて
ソファの隅の方に座って
スマホを弄り始めたから
スッとその手から みくりの
スマートフォンを奪い取ると
「ちょっと、返してよっ!」
「怒ってる…んじゃないのか?」
「怒ってない…よ、怒ってるんじゃないし」
「俺が、君を避ける様な態度を取ったからか?」
「だから、嫌だって…、言って…ッ」
「俺が話して欲しいって、何度言っても
今まで話してくれなかっただろう?
どうして、今、話す気になったんだ」
小さくなってソファに座っている
みくりの背中に
自分の背中をひっつけて合わせると
杏寿郎がみくりに問いかけて来て
「話しても…、良いのかなって…
そんな風に聞きたいって、
杏寿郎が言ってくれるんだったら。
言っても良いのかなって、思った…から」
「それはそうだろ。俺と君とは夫婦だからな?
君が自分の中で抱え込んでいる物が、
どんな形であれ、俺は
それを、受け入れるつもりなんだがな?
毎回の様に、ろくな話じゃないからと
適当にはぐらかされて来たが。
そのろくな話じゃない話は…君の中では
ろくでもない物なんだろう?」