第73章 残りの結婚休暇の使い方 後編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
船の床の上に
杏寿郎の掬ったギマと
船長の掬った大きめのギマを
ちょんちょんと並べて
身体の下について居る棘で
自立する様にして立たせると
「立った!杏寿郎、立ったよ!」
「ああ、立ったな。
俺はギマが立った!とでも言えばいいのか?」
「それは、クララがってこと?
ギマは立つ物なんだよ」
「折角だから、捌いてあげようか?」
そう船長さんが声を掛けてくれて
まぁ船は貸し切りなので
私達のペースで車エビを掬えばいいのだが
「いいんですか?」
「醤油、持参してるしね。
ギマはカワハギに似てるが、味も
癖がなくて、カワハギより美味いよ」
車エビ掬って待っててと船長さんが言って
ギマを刺身にして貰っている間に
車エビを掬って待つ
それも時々 つまみ食いしながら待つ
「ん?もしかして、
また、食べてたのか?みくり」
「んんっ、だって…、
車エビ、美味しそうだからつい」
杏寿郎も食べると言いながら
掬いたての車エビを網毎見せて来るから
「いや、俺は今は掬うのが忙しいからな」
ひたすら掬うのに集中したいと
杏寿郎が言って来て
「あれ。あれなんだ?」
魚でもエビでもない
透明な物が流れて来て
ライトに照らされて
ぼんやりと浮かんで見える
「ミズクラゲ、
お盆過ぎたらわらわらするやつ」
可愛いねと言いながら
ふよふよと漂っているミズクラゲが
潮の流れで流れていくのを二人で眺める
「杏寿郎、あれ掬って、私から届かないから」
あの影は…ワタリガニか
「よし、俺に任せろ!」
そう言って 大きめのワタリガニを
杏寿郎が網で掬い上げると
こちらに向けて見せて来て
それをギマの刺身を捌き終えた船長が
ギマの刺身を片手に持ちながら
「ああ。ご主人、それは
いいワタリガニだねぇ。
はい、ギマ捌けたよ。捌きたてどうぞ」
そう言って用意してくれた
紙皿の上にギマの刺身が乗って居て
見た目も似てるがこうして
刺身になって出て来ても
カワハギと言われたらカワハギだな
「でも、色味がちょっと違うか」
「肝醤油にしてもいいけど、
身はあっさりしてるから、
肝と一緒に食べるのがオススメ」
そう言って差し出された紙皿と
割りばしを受け取って
さっき獲ったばかりの
新鮮な鮮度抜群のギマの刺身を口に運ぶ
「カワハギに似てるが、癖がなくて美味いな」