第73章 残りの結婚休暇の使い方 後編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
受付を済ませると
えびすき漁は幾つかのポイントで
それぞれの船に別れて漁に出るが
その日の潮の流れによって
沢山車エビが流れて来るポイントと
そうでないポイントがあるらしく
その日の船に割り当てられる
えびすき漁のポイントは
代表者のくじ引きで決めるそうだ
「同じ浜名湖だから、
どこでしても同じなのかと思って居たんだが。
そうでもないもんなんだな」
漁に出られる時間は日に寄るが
3時間ほどの時間で
多ければ1000匹の車エビを掬えると
そう船長さんが教えてくれて
少ない日でも100~300は掬えるからと
励まされたのだけども
1000匹と100匹は大差だと思うし
100匹と300匹も大差だと思うのは
私だけでは無かったようで
思わず隣に居た杏寿郎と目を合わせて
苦笑いをしてしまった
『まぁ、運だめしだと思って、
くじ、引くかい?どっちかが』
場所はかなりその日の水揚げに
影響すると言うのに
その大事なくじ引きを
こっちに引くかと声を掛けて来て
他の船のくじもお客さんが引く様な感じだったから
このくじ引きを含めての
アトラクションなのかも知れないと思った
細いロープの様な紐の先に木で出来た
銭湯の下駄箱の札の様な番号の付いた札が
それぞれの紐の先に括り付けられていて
1番の札を引いた船から
順番を決めるのではないと言う
ここの独自のルールの様な物の説明を受ける
お客さんを乗せる船はえびすき漁の体験として
そうでない船は普通に漁として船を出すらしく
中には車エビを目当てにして
群がって来るシーバスを釣りに来る
お客さんも居ると言う話だった
多分こう言う引きの強さは
彼が持ち合わせて居ると思うので
くじ引きは彼に任せる事にして
その様子を少し離れた所で
船長さんと一緒に見守る
『ご主人、くじ運は良い方なの?』
「ええ、彼の。持前の勝負強さは
今も昔も変わらないと思います」
私のくじ運も決して悪く無いけど
杏寿郎の引きの強さと比べると
数段にも霞んで見えてる気がするし
杏寿郎が引いた紐の先の番号を
こちらに向けて見せて来て
その札を持って戻って来ると
嬉しそうな顔をして船長さんが
杏寿郎の肩を叩いて グッと親指を立てて
「今日は、沢山、持って帰って貰えそうだわ」
そう言って上機嫌に前に出て言ったから
引いた番号は良かったのだろう