第73章 残りの結婚休暇の使い方 後編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
「あの、ペレットストーブをね
買って良かったなって、思ってるよ?」
そう言いながら
こちらに彼女が笑顔を向けて来るから
「俺は、今、そんな君と
結婚して良かったなと、思ってるがな?」
「そっ、そんなの、
私だって…思ってるし?いつも、
こんな素敵な旦那さんと結婚できて、
杏寿郎の奥さんになれて幸せだよ」
そう気恥ずかしそうに言って来ると
何の疑いも無い様な
屈託のない笑顔を
みくりがこちらに向けて来るから
そのまま杏寿郎に
苦しい位に抱き締められてしまって
肋骨が折れるかと思ってしまった
「ちょっ、苦しい、苦しいからっ。
鯖折り、鯖折りは止めて…ッ」
「あの、某相撲レスラーの
鯖折りは鯖折りじゃないんだがな…」
そう杏寿郎が言いながらも
抱き締める力は緩めてくれないから
「杏寿郎…、苦しいっし、
絞められすぎて、痛いからっ」
「俺が今、感じてる幸せと喜びを
君に伝わる様に体現したんだがな?」
「苦しいし、暑苦しいっ」
「さっきの可愛い奥さんは
もう、お終いなのか?」
そんな事をして遊んでいる内に
注文した夕食が運ばれて来て
焚火のエリアのテーブルは
少し小さめだから
スープとバケットとサラダに
盛り合わせになった前菜が並ぶ
メインの料理とパスタとピザは
これが済んだ頃に届くそうだ
前菜は海鮮カルパッチョに
プロシュートとカプレーゼに野菜のジュレ
フリッタータが鮮やかな黄色を添える
ここのグラングラリアの
ハウスワインの赤ワインも
一緒に届く様に注文してくれていて
「杏寿郎は赤ワイン好きだね。
フルボディのガツンとパンチも
エッジも効いてそうな味のヤツ」
杏寿郎がグラスのワインを傾けて
「ワインでエッジと言うと、
こうしてグラスを傾けた時に見える
縁の部分の色合いだがな。赤ワインの
熟成の度合いで色味が変わって深まるんだ。
丁寧に熟成されたワインには、
こうして赤色に黄色が混じって…
鮮やかなオレンジに似た色味になる」
「ねぇ、もしかして…
私のこのグラスの中身と、
杏寿郎のグラスの中身って」
違うワインじゃないのと
みくりが杏寿郎に確認して来るから
「ああ、君のグラスの中身と
俺のグラスの中身は別のワインだ。
こっちはフルボディだし、
そっちはミディアムボディの赤ワインだな」