第73章 残りの結婚休暇の使い方 後編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
こっちとしてはそれを彼に
訴える事も出来ないし
彼は先にそう言っただけあって
彼にはそれがそうじゃないと言いたいのは
よくよくこっちにも理解が出来たので
「ただ付き合いが古いからと言うだけで、
ここまで君の好みをここにしろ、
ワインにしろ、ドウマンガニにしろ
熟知出来るものでもあるまい?」
そこまで勢いに任せて言ってしまって
言いすぎただろうかと後悔した
奥さんは何も言わなくなってしまったから
「美味しい物、沢山知ってるから
これが美味しいよって、
美味しいお店があるよって
昔からいつも食べさせてくれるんだよ?」
要するに彼は みくりに
本物に間違いのない美味しい物を
昔から与えて 餌付けしてた訳で
小さい頃から彼が彼女にそうしてたから
彼女はそれがおかしいとも疑いもしないし
周囲もそれを怪しみもしない
「お金…をね、払うからって…ッお礼に
私が、それを断わったから…で」
「金銭的な授与がない代わりの、
お礼なんだな、あくまでも。
みくり、コーヒー淹れて来る。
途中だったからな」
そう言ってテントに戻ってしまって
コーヒーのカップを2つ持って
ウッドデッキに戻って来て
みくりの隣に腰を降ろして来て
「まぁ、君に美味しい物を食べさせたいと
思う、彼の気持ちには共感出来るからな。
俺も、割と君のその美味しい顔見たさに
あちこち店を探したりしたもんだしな」
「美味しい顔?って…それ、
仕事場の先輩にも言われたんだけど?
私は食べてるだけだよ?普通に。
ああ、その先輩はランチ一緒にしてたら、
これも食べなって言って来るけど」
みくりを餌付けしたい人間は
俺やあの成瀬さん以外にも居たのか
「君は本当に美味そうに食べるからな、
見てて気分がいいし、見ている方が
満たされた気分になる。美味いか?」
ハンバーガーを食べ終えて
カットされたフルーツを
みくりが美味しそうに食べていたから
「杏寿郎も、美味しそうに食べるし、
沢山作った物食べてくれるから
私は、嬉しいんだけどね?ご飯沢山
食べてくれる人、好きだから。
ご飯の作り甲斐があると言うかね?」
「なら、これからも沢山
美味い物、一緒に食べるしかないな」
二ッと笑いながら杏寿郎が
そうこっちに言って来て
「うん、そうだね」
そう答えて彼の肩にもたれ掛った