第72章 残りの結婚休暇の使い方 中編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
名前を呼ばれて
こっちに集中しろと言いたげにしている
杏寿郎のキスを受け入れる
唇じゃない場所に
触れるだけのキスを数回落とされて
「んっ…、もう、お終い」
「まだ、ちゃんとしてない…」
そう言いながら普通にキスを
して来ようとして来るから
空いている方の手で
彼の口元を塞ぐと
ペロッ…と手の平を
杏寿郎に舐められてしまって
「きゃ、ちょ、…っと、
手ッ、舐めないでよ…!」
「パン、焦げるぞ?」
「言われなくても、分かってるしッ。
杏寿郎は、パン…焼かないの?」
杏寿郎にキスをさせない様に
塞いだ手を剥がされて
ちゅう…と爪の先にキスを落とされる
そのまま 指先から
手の平に掛けてキスを落とされて
吸い付く様にして手首にキスをして来られる
「ご不満そうだな」
キスをしたがってたから
唇に来るのかと思ってた期待を
裏切られた気分で居たのが
どうやら顔に出てしまって居たらしく
「だが、こっちにしたら。
それこそ、パンが半焼けのままで
焼けなくなってしまいそうだがな」
そんな風に宣言されてしまうって
むぅ…とみくりが自分の口を尖らせると
「じゃあ、パン食べてからにする」
「俺より、こっちがいいのか?」
「中途半端」
「俺がか?パンがか?」
杏寿郎の手から棒パンを取り上げて
みくりが立ち上がると
ソファから離れて
パンを焼く方に集中し始めたので
「じゃあ、あれか。俺は、棒パンを
君が焼くのを妨害してもいいと?」
俺か棒パンかと言う選択肢で
私が棒パンを選んだから
私の旦那さんが拗ねたんだろうけども
純粋に棒パン食べたいだけ…だったりする
それに中途半端に焼いて放置するのも
棒パンに失礼だしね
「で、妨害はどこまで許されるんだ?」
後ろから杏寿郎が身体を寄せて来て
耳元で確認を取る様にして囁いて来る
その言葉の合間に
彼の吐く吐息が混じって
その音を鼓膜が拾って反応してしまう
「パン、焼いてるんだけど?」
「ああ、そうだな。
だから、邪魔してる」
そう不満を漏らすと
しれっと杏寿郎が言って来て
「焦げてもいいの?」
「焦がすのか?俺の所為で?」
「誰かさんが、邪魔するからでしょ?
あっ、ちょっと見てよ!杏寿郎。
いい感じじゃない?きつね色」
ホラとこちらにパンを差し出して来るから