第71章 残りの結婚休暇の使い方 前編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
そう千寿郎が言って来て
「聞きたい事は、分かってるつもりだけど?
兄さんが聞きたいのは、みくりさんの
その後の話でしょ?その辺りの事は
煉獄槇寿郎の手記に残ってるんだけど。
あの、列車での戦いの時に、肺を酷使して
呼吸を使いすぎたのが原因で残された余命は
半年だと言う事を胡蝶しのぶから言い渡されたと」
「そうか…、俺があの任務に
彼女を同行させたのが…、全て」
届いたシーザーサラダを自分の皿に取ると
杏寿郎の分も取り分けて差し出して来る
「兄さんが知りたいのは、
その時に、みくりさんが
妊娠してたあの時の兄さんの子供が、
どうなったかって事じゃないの?」
「どうして、彼女は自分の子供が
どうなったかを知らない?
それに、あの時の彼女がそうなってたとして
余命が半年では到底…」
その子供が生まれるのを
見届ける事は叶わない
自分が死んだ時の記憶が曖昧なのか?
「それは、みくりさんの
記憶があったとしても知らないだろうから」
そう言って煉獄家の家系図の画像を
杏寿郎に向けて見せて来る
冷たい汗が身体を伝うのを感じる
大正時代に生きていた俺の下に
その子供の存在を示す線が引かれて
その下にある部分にはその名は書かれておらず
「代々の炎柱の手記は、当時の煉獄槇寿郎に
よって一部が消失して抜け落ちて居たんだ。
それを、最後の炎柱の弟である煉獄千寿郎が
復元した手記が数冊存在してた。明らかに
他の手記よりも紙質が違ってたから。
その復元した形の炎柱の手記の中に、
彼自身が炎柱ではないが、
書き記していた事があったんだよ」
千寿郎が指で その抜け落ちた
煉獄家の空欄を 指さすと
そのまま 動揺をしてる
杏寿郎に構う様子もなく続ける
「その宣告通りに、半年後に
みくりさんは亡くなった。
正確に言えば、死に限りなく近い眠りに
つく事でその時までの延命を望んだと言う方が。
表現としては近いかな?彼女の望みで
その子は煉獄家の代々の名前を
受け継ぐ事も無く、そのまま養子に出された」
「なら、生きている…のか?」
「本人が生きてる可能性も無くはないけど。
105歳…だけどね?生きてるなら。
その子が生まれると同時に、
彼女の方も息を引き取ったみたいだけどね」