第71章 残りの結婚休暇の使い方 前編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
杏寿郎が違和感の様な物を感じる
あの頃の千寿郎の姿が
一瞬 脳裏に浮かんで来て
自分の過去の記憶かと思ったが
あの世田谷の家の中庭で
千寿郎に稽古を付けた記憶なんてない
「兄さんじゃなくて、兄上とお呼びしたら。
僕の事も思い出して頂けるのでしょうか?」
そう千寿郎が あの頃の千寿郎の
口調と声色を作って話しかけて来て
そうだ 兄上
そう呼ばれてたんだ
あの時 そうあの時
「千寿郎!!お前はあの時の記憶があるのか?」
「大正時代に、鬼殺隊と言う
政府非公認の組織で、鬼舞辻無惨を始祖とする。
鬼と呼ばれる人らなざる者と戦って来た。
煉獄家が代々炎柱を継承していた…と言うのは
その蔵から見つけた本で知った事だから。
僕には全くだけど、記憶もないんだよ」
ムッと杏寿郎が千寿郎の言葉に
不機嫌そうに顔を顰めて来るから
「だったらなんで、知った様な口を
勿体ぶる様にして利いて来たんだ!!」
「まぁまぁ、落ち着いてよ兄さん。
ああ、今は兄上。兄上は炎柱の手記に
ついては記憶にあるの?代々の炎柱が
1000年の間に渡って書き連ねて
煉獄の家で保管されていた手記だよ」
そう言いながらスマートフォンで
撮影した煉獄家の家系図を
千寿郎が杏寿郎に見せて来て
初代の煉獄家の炎柱となった当主から
代々に渡って残されて来たのだと
千寿郎から説明を受ける
「そして、煉獄家の最後の炎柱であるのが
大正時代に、20歳で亡くなった。
煉獄杏寿郎みたいなんだ。
その最後の炎柱である、煉獄杏寿郎は
手記を残して居ないんだ。
その辺りの理由については、その先代の
炎柱である、煉獄槇寿郎の遺した手記に
書かれているんだけど」
話をしながら
タブレットの端末で適当に自分が
食べたい物を注文して行く
「千寿郎、聞きたいんだが。その
煉獄杏寿郎と言う、俺と同じ名前の
炎柱が最後に赴いた任務は…」
「恐らく、当時は旧暦だから
今の暦に当てはめると
大正5年の11月19日。
無限列車と言う任務にて、上弦の参と
呼ばれる鬼との戦いにてその生涯に
幕を閉じたと言う風には書かれてるけどね」
その事について書かれていた
煉獄槇寿郎の手記のページを
千寿郎が杏寿郎のスマートフォンに送って来て
「その列車での任務に同行していた
隊士についての記録はあるのか?」
「らしくない」