第17章 夏の空の落とし物 前編 お相手:竈門炭治郎
「わからないっ、分かんないよっ!!」
突然 美空が自分の顔を
手で覆ってしまって
その手の間から涙が零れて来て
「どうしてっ、みくりはっ、炭治郎の事が
こんなに、こんなにも好きなのに…、
いいって言ったの?
私とこうしてって…言ったの?」
「美空はそれを、
言葉にされないとわからないのか?
みくりさんは、優しいからだ…。
美空を、悲しいまま、
苦しいままにしときたくないから」
「お似合いだね…」
そう美空が呟くように言った
「炭治郎と、みくりの事言ったんだよ。
どっちも、どうしようもないくらいに、優しい。
私の事なんて、…もう死んだ人間なのに」
叶えたいと 思ってた
望みを 願いを叶えくれようとするなんて
ホント 優しすぎるよ
「もう、終わった事なのに。炭治郎が
そうしてくれても…、何も変わらないのに」
「それは違う!美空が、美空の内に
そうしてあげたいって、
俺にそしてあげて欲しいって、みくりさんが!」
ふふふふと目の前の美空が笑って
「ほら、やっぱり、
みくりさんじゃん。炭治郎は」
本当は このまま
炭治郎達に甘えて
そうして貰おうかって
気持ちがなかった訳じゃないけど
でも 自分にそう思ってくれてる
相手とじゃないと意味ないって
気が付いちゃった
それが炭治郎だったら
良かったけど
炭治郎の心の中は あの人でいっぱいで
「炭治郎、そんな顔しないで……
私、炭治郎よりも、何倍も優しくて
素敵な人……見つけるから」
美空の言葉に
炭治郎が返せないままで居ると
そのまま言葉を続ける
「それで、私の事、
好きで好きで仕方ない人をね?
確かにそれは、私じゃ出来ないけど……。
今度、生まれ変わったら…そうするから」