第70章 秘密の個人授業 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ高校生
彼を家に上げる事への
俺が先生の家に上がる事への
―― 言い訳でしか…ないから ーー
多分理由なんて あっても無くてもいいし
どんな理由でも良かったんだと思う
どうにも 来てしまったまではいいが
落ち付かないでいて
年頃の女性の部屋にしては
女性らしい可愛らしい様な
小物で溢れている事もなく
かと言ってミニマリストと言う程
何もないと言う訳ではないが
あまり余計な物のない
シンプルな部屋でしかなくて
「ここまで、世話になったな。煉獄。
とりあえず。冷えた茶でも飲むか?」
とりあえずと良く冷えた
麦茶を出されて
一気にそれを飲み干して
出されたグラスを空にすると
みくりがグラスに
お代わりの麦茶を入れに
キッチンに行こうとするのと
その腕を掴んで引きとめる
「あの、お茶は大丈夫ですので、
それより、先に。足の傷…の手当を…した方が」
「でも、ここの手当をしてしまってから
シャワーを浴びてしまったら、
また手当しないとダメになってしまわないか?
それに傷はまずは十分に洗浄をして
表面の汚れを落としてからだな…」
カタンと杏寿郎が立ち上がると
みくりの目の前に来て
「なら、足の傷を先に洗いましょう」
そう言って杏寿郎に
お姫様抱っこで抱き上げられてしまって
さっきまではおんぶで運ばれて居たのに
お姫様抱っこ…で抱き上げられてしまって
「バスルーム、どっちですか…?」
杏寿郎がバスルームの位置を
確認して来たので
どうにも気恥ずかしくなってしまって
みくりが片手で自分の顔を隠しながら
空いている方の手でバスルームの方向を指差して
「あっち…」
と小さな声で杏寿郎に言って来るから
あんな風に大胆にこっちを煽って来て置いて
ここに来て そんな可愛らしい
態度を取って来るとか
先生はズルい…と思わずには居られないし
落ち着くまで…が
家に上がる為の口実なのであれば
傷を洗うから…が
バスルームに向かう口実になってしまっていて
「な、なぁ…煉獄」
「どうしましたか?先生」
今 バスルームの中にそのまま
お姫様抱っこをされたままで
入って来ている状況で
「お前が…洗うつもり…で居るのか?」
「そのつもり…ですが?」
杏寿郎がシャワーのバルブに
その手を伸ばして捻る