第70章 秘密の個人授業 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ高校生
「お代わり…、食べるでしょ?兄さん。
大丈夫だって、父さんにはこんな話
したりしないって。
でも、珍しいんじゃないの?」
千寿郎が椅子から立ち上がると
杏寿郎の方に
手を差し出して来るから
「時間…掛けすぎ…だとでも
言いたいのか?だが、それで
丁度いい相手なんだ。
それぐらいしないとダメな相手…でもあるしな」
そう言いながら杏寿郎は
空になった自分の皿を
千寿郎に差し出すと
それを持ってキッチンへ向かって行って
「だから、珍しい…って僕は
言ってるんだよ、兄さんだったら
そんな慎重になる必要もないじゃなのかなって」
そうキッチンから千寿郎の声がして来て
「分かってるなら、そんな
まだるっこしい聞き方しなくても
いいんじゃないのか?千寿郎」
お代わりのよそわれた
皿を千寿郎の手から受け取ると
カレー皿の中のゴロゴロとした
じゃがいもをツンツンと
スプーンの先で弄ぶ
「先生…、だよね?相手」
お互いの視線がぶつかって
その後に沈黙が続いた
「まだるっこしい聞き方しなくていいって
言ったの、兄さんの方だよ?兄さんさぁ
それ、本気…なんだよね?」
「さあ、どうだろうな?それは
千寿郎の目に見える通りだろうがな?」
そう杏寿郎が言うと
その話はお終いと言う空気になって
もくもくとお代わりのカレーを平らげて
自分だけさっさと食べると
更にお代わりをよそいにキッチンに向かって
カレーをよそっている
杏寿郎の後姿を
千寿郎は静かに眺めていた
ーーー
ーー
ー
補習と仕事を終えて
みくりは自分のアパートに戻った
明日は花火大会の引率を引き受けていて
浴衣で皆が来るからと
先生も折角の花火大会なのでと
浴衣で来るように言われてしまった
浴衣…コロナの所為で
祭りらしい祭りもこの数年なかったし
日の目を見る事も無かったな 浴衣
自分が持っている
5枚の浴衣をみくりが
ベットの上に広げる
「こっちは、若い時に買ったやつだし…な、
こっちは、学校の行事で着るのに
買ったやつだから、大人し過ぎるか?
こっちは、姉さんがくれたやつ…
品物はブランド浴衣だから悪く無いが
少々柄が、派手過ぎるか…」
ベットの上のスマートフォンから
LINEの通知音が鳴って
みくりがLINEを確認すると
胡蝶カナエからで