第70章 秘密の個人授業 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ高校生
「先生、これ、答案用紙です」
杏寿郎が差し出して来た
小テストの答案を受け取る
「あ、ああ。確かに」
「なら、俺は慌てる必要もないと言う事ですね?」
「慌てる?何にだ?」
受け取った答案用紙に向けていた視線を
みくりが上げるとすぐ目の前に
杏寿郎の顔があって
「貴方に俺を認めて貰って、
受け入れて貰う事に掛ける時間の事ですが?
時間がないならと、少々強引な手立てを
考えてしまいそうだったので、
俺もそれを聞いて安心しました。
なら、俺もじっくりと時間を掛けて
取り組めると言う物だ。
では先生、また明日の補習の時間に」
俺はこれで失礼しますと
こちらに深く丁寧に頭を下げると
杏寿郎が特別指導室を後にして
ひとり 部屋の中に残される
いや ちょっと待て…今 さらりと
ナチュラルにとんでもない事を
煉獄の奴は言ってのけなかったか??
私があの見合いの話を急いで進めれば
少々強引な手立て…も
持さない勢い…だった様…な??
言い草ではあったが
いや 待て待て
重要なのはそっちじゃなくて
アイツは何に
じっくりと時間を掛けるつもりで居るんだ?
それに…だ さっきの晩婚化の話の時に
煉獄は何を言って居た?
あれは…まるで あれじゃあ…まるで
さっきの彼の言葉を反芻して
その意味を深読みすればするほど
ある結論に 考えが辿り着いてしまって
ドキドキと自分の心臓が騒がしい
あの言葉…は 私に… まるで
”俺なら貴方を幸せに出来る”とでも
言われているかの様しか感じられなくて
私が煉獄に…一時の気の迷いだと
諭す様な事を言った事に対して
気の迷いなんかじゃないと示して来るから
直接的な言葉ではない
ではないにしても
そんな事を言われてしまって…は
「私は…一体、どうすれば…いいの?」
どんどん 自信を無くすばかりだ
彼に直接的な言葉で迫られて
求められでもしたら
断わり切れる自信が無くなるばかりだ
彼は17歳で 高校生
それもこの学園の生徒で教え子だ
あり得ない…あってはならない事なのに
ーーー
ーー
ー
杏寿郎が学校からの帰り道
ポケットからスマートフォンを取り出して
朝に断った 花火大会の話について
不死川に 行きたいとLINEを送った