第70章 秘密の個人授業 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ高校生
「ええ、そうみたいですよ。
千寿郎に、良い友人が出来た様で。
しかし、杏寿郎、良かったのですか?」
「うん、気にしないで。母さん。
その日は父さんも出張だし、
千寿郎と母さんとで実家で
ゆっくりして来てよ。
俺はもう高校生だから、
心配して貰わなくても大丈夫」
コップに冷えた麦茶を瑠火が注いで
カウンターキッチン越しに
杏寿郎の方へそのコップを差し出して来て
「杏寿郎、ひとつ…母から
杏寿郎に言って置きたい事があるのですが」
「何?そんな、改まったりして。
勿体ぶらないで話してよ、母さん」
瑠火が差し出して来た麦茶を
杏寿郎が受け取って
その麦茶に口をつけるのを
瑠火が静かに見つめていて
「杏寿郎、貴方はまだ高校生ですが。
身体は立派な男性ですから、
学生の内は…学生らしいお付き合いも
いいんじゃないかしら?あの人は
あんな感じだけど、ああ見えて
貴方にとても期待してるのよ?」
その母の言葉に
冷えた麦茶がその温度よりも
冷たく感じたのは言うまでも無くて
にこっとこちらに向けられて居る笑顔が
全て母にはお見通しですとでも言って居て
「母さんの言いたい事は、分かってるつもりだ。
父さんの期待には、ちゃんとした形で
俺も、応じるから…ッ」
「でも、私は、杏寿郎、貴方の母なのです。
母は、貴方の味方をしますよ?杏寿郎。
それが例え…、どんな結末を迎えたとしても。
だって、杏寿郎がそこまでしてもいいって
そう思った人なのでしょう?
ああ、あの人は気が付いてませんから。
その辺りは、母が上手く言って置きます」
そう言ってにこっとまた
こちらに笑顔を向けて来て
その笑顔の意味が先程の笑顔とは
異なって居るのに気が付いた
そうしている内に
同じ中学の友達と図書館に行って居た
千寿郎がお昼を食べに戻って来て
「ただいまもどりました。あれ?
兄さん、補習は終わったの?」
「ああ、補習は90分だけだからな。
千寿郎、一緒に昼にしよう」
ダイニングテーブルにふたりで座ると
母の特製の冷やし中華が出て来て
「あそこの、餃子屋さんの餃子も焼きますから」
「あそこの餃子っ、あるのか?」
「ええ、ありますよ」
冷やし中華をすすりながら
餃子が焼き上がるのを待つ
「千寿郎は白ご飯、食べるか?」
自分の茶わんを持って
杏寿郎が千寿郎に声を掛けて