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ひみつのひめごと【鬼滅の刃/R18】

第70章 秘密の個人授業 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ高校生



なら 今お前はどんな気持ちで
私の前に座って居るんだと

そう訊ねてしまいそうになって
その言葉をみくりは飲み込んだ

訊いてはいけないと… 感じたからだ

彼の言葉に偽りがないのは
その顔を見れば分かる
言葉にして尋ねるまでも無い事だ

だが それを知った途端に

自分の背筋が凍る様な
そんな感覚を感じたのも 事実だ

それ以上の言葉を返さずに
そのまま何も無かったようにして
残りの時間の補習授業を行った

その日の夏季補習を終えて
杏寿郎は駅に向かって歩いていた

流石に大人の女性だけの事はある…か

だがまぁ 後3日あるしな

シャンシャンシャン…

街路樹から聞こえる蝉の声は
今年の夏は随分としおらしく聞こえる

いつもならこの辺りを歩けば
耳が痛くなる程の
クマゼミの声がするのに

「蝉も鳴くに鳴けない…夏か」

夏に鳴けない蝉に自分を重ねる

「道はある程度は、塞いでは置きたいが…。
あまり塞ぎすぎると泣かせてしまうだろうか?」

その声を頼りに
一本の街路樹の前で
杏寿郎が足を止めて
その街路樹を見上げると

1匹のクマゼミの姿が見えた

いつもなら1本の木に7~8匹は居るのに

抜け殻はあれどもその姿はまばらだ


「鳴くにも鳴けない蝉なのは、
俺も同じ事か…夏なら鳴けるなら
まだ俺より、幾分お前の方がマシだな」


補習の時間が終わって
ひとりその場から動けないままで

みくりは個別指導室の
椅子の上に座ったままで居た

自分に言われた事の意味が
理解できない程 私は子供ではない

ひとつ 分かった事と言えば

私がどんな言葉を並べようとも
彼の気持ちは変わりそうにないと言う事ぐらいか


後 3日…


個別夏季補習を彼とここで
しなくてはならないのだ…


その3日が過ぎれば

夏季休業中なのだ 

煉獄と顔を付き合わせるのは

新学期になってからになるが


昨日は身体的な距離を詰められて

今日は今日で精神的な距離を詰められて


3日間 そのたったの3日間を

恐ろしいとすら感じてる自分が居る


あの勢いであの熱で本気で詰め寄られたら

拒む事も許さないと迫られたら??


こんな考えを起こしてる時点で

煉獄の望み通り…なのかも知れない


生徒の枠から 少しずつ


彼が音も立てずに 少しずつ…に




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