第69章 なつのおはなし ※裏なし掌編 お相手:色々
雛鶴 まきを 須磨の3人が
俺からの合図を待っていて
目でそれぞれが訴えて来ていて
俺の考え 分かってくれちゃうので
流石 俺様の嫁達だわ 本当に
音も聞こえない
気配は移動してる
でも 音が聞こえないのは常人の耳にはの話だ
ゴクリと3人の嫁が
何もない空間を凝視したままで
固唾を飲んでいて
俺はその みくりが居る場所に
意識を研ぎ澄ませると
ゆらっと 視界が揺らいで
その何もない場所から
まるで魔法か何かの様に突如
一人の忍び装束の女が現れて
嫌 もう 真っ黒だな
んで 相変わらず くのいちなのに
身体のラインも強調しない
目しか出さない様な 野暮な忍び装束だな
地味過ぎんだろ 俺の4番目の嫁
「金魚…、凄い、氷で出来てるのですか?
氷で出来ている金魚は初めて見ました」
よっぽど興味があるのか
物珍しそうにクルクルと
氷の金魚の回りを回って
「雛鶴、まきを、須磨。囲めっ!」
ザッとみくりが逃げられない様に
4方から取り囲むと
ニコッと宇髄がみくりに向かって
満面の笑みを浮かべていて
「みくり、お前の主人の帰宅つったら
もう、言う事は決まってるでしょ?
何?何て言うの?」
見えているのは目の周りだけなのだが
その部分だけでも真っ赤になってるのは分かる
別にコイツが俺に惚れすぎてこうなってるとか
そうなんじゃなくて 俺に対しても
他の嫁に対してもこれだ
昔 里に居た頃のある事が原因で
自分への劣等感を募らせて
人と接するのが極端に苦手になったらしいが
話をするのはおろか
目を合わすのも至難の業だ
当然 夫婦の営みなんぞを
しようと持ち掛けるまでに…
とりあえず 縛ってでも
俺に慣らす?と言う言い方も変だが
必要がありそうだ
だからと言って飯の支度や
風呂の支度を知らぬ間にして居たりするし
屋敷の掃除も知らぬ間に出来ているから
嫁としての褥の務めは果たしてなくても
嫁としての仕事は果たしてはくれているのだが
と俺がここまで考える間があって
それからようやく
「お、おかっ、お帰り…なさいま…せ、
て、…ッ、天、…元…様ッ」
そうたどたどしいながらに
みくりからの言葉が返って来て
ポンっと宇髄がその頭に手を置くと
一瞬にして 気配が消えた