第69章 なつのおはなし ※裏なし掌編 お相手:色々
普通の塊の氷とは形が違うのは
新聞紙越しでもわかるので
不思議そうにしながら
まきをがそう漏らして
「天元様~これ、開けていいですか?」
そう中が気になるのか須磨が
ウズウズしながら言って来る
「おう、勿論だ。いいぞ?御開帳しとけ」
わくわくしながら須磨がそれを
包んでいる新聞紙を外して行くのを
少し離れた場所から雛鶴が見守って居て
更に離れた場所からチラチラとみくりが見ている
「んな所で見てねぇで、こっち来い」
自分に言われたと気が付いて
ぴゅっと忍ならではの身のこなしで
みくりが物陰に隠れてしまって
極度の恥ずかしがり屋なので
みくりはすぐに隠れてしまうのだが
いや みくりは忍としての
隠密の能力はずば抜けてるのだが
音を聞けば こちらを見てるのは分かるので
まぁ これはこれで悪く無いとは思ってる
まぁすぐに隠れちまうんだがな
それを須磨が面白がるモンだから
俺の留守にみくりを追いかけ回しては
まきをに怒られている
多分今もそれで怒られてたんだろうが
「凄いですね、天元様っ、
これっ、氷の金魚ちゃんです!!」
「これは、氷の彫刻…ですか?」
「凄い、金魚になってる」
3人がそれぞれに感想を述べて来て
「涼し気でいいですね、氷の彫刻」
そう雛鶴が言って穏やかな笑みを浮かべる
「ああ、コラっ、須磨。
そんなベタベタ触ったら、溶けちゃうだろ?」
「まきをさんも触って下さい、
冷たくて、気持ちいいですよ?
ほら、みくりちゃんも、
こっちで、一緒に金魚の彫刻見ましょう」
そう言って須磨が氷の彫刻を
ナデナデとその手で撫でて
冷たくて気持ちいいからと
みくりに一緒に触ろうと誘って
「馬鹿っ、須磨。
そんなに、触ったら溶けるじゃないか」
それをまきをが引き剥がそうとしていて
溶けるのが勿体ないと思って居るのか
須磨をそこから離そうとしていて
それを離れて雛鶴が見ていて
「貴方も、こっちに来たらどうかしら?」
そう雛鶴がみくりが隠れている
物陰に向かって声を掛けると
その周囲の色に擬態したままの状態で
こっちに近付いて来るのが
ここには忍しか居ないから
みくりが近くまで来ているのは
目には見えなくても分る