第68章 7月のある週末の話 後編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
「って、杏寿郎?最初から、
全部知ってたって事??」
「花火、一緒に観られて良かったな」
「ちょっと、誤魔化せないでよ!」
「まだ、終わってないぞ?
フェアの参加者も花火は観たいだろうからな」
立会人をしてくれていた
船長さんがこっちこっちと
ふたりに手招きをして来て
船首の方を指差して来て
ニッコリと笑顔を見せて来るから
もう何を求められているか
すぐに分かってしまったんだが
あの有名な映画のワンシーンを
この状況で再現するとは…
「恥ずかしい…のか?
まぁ、仕事だと思って割り切れば…。
その、乗りかかった船だろう?」
「乗りかかるも何も、今、
現在進行形で乗ってる船だよっ!」
そうだ 私は女優
私は女優
いや違うな 今はローズか
じゃあ杏寿郎がジャック…って事っ?
「どうしたんだ?みくり」
「ううん?何でもない」
そうだ お仕事お仕事
タイタニックのポーズを求められただけ
船首に立つと
みくりが両手を水平に開いて上げると
自分の目の前の空に
大輪の花火が打ちあがって行くのが見えて
ドーーーン ドォーーーンン
「どうだ?みくり」
そう後ろから杏寿郎が声を掛けて来て
密着して身体を支えらえているので
耳元で杏寿郎の声がする
「どうって?」
「一番、花火に近い特等席だと思うんだがな?」
ああ もうこれもそうなのか
通りで何か船長さんニヤニヤしてると
思ったもんそれでね?って
杏寿郎…どんだけ仕事に私情挟んでるの?
「でも、船長さんも楽しそうだから
いいんじゃないのか?結果オーライだろう?」
そう言って杏寿郎が二ッと笑って
ニタニタと嬉しそうな顔をしているから
こうもまんまと一杯も
二杯も食わされてしまったのか…
そう思うと嬉しい気持ちもるけど
ちょっぴり 複雑な気持ちにもなってしまう
「こんな事ばっかりしてて、
上に怒られても知らないよ?」
「なら、真面目に仕事もして置こう…」
そう杏寿郎が言って来て
「みくり…」
と熱の込もった声で呼ばれると
こちらを見つめる
杏寿郎と視線がぶつかってしまって
そのまま あの映画のワンシーンの続きを
なぞるように キスを受け入れてしまっていて
「んっ…、杏寿郎…ッ」
「…みくり」