第68章 7月のある週末の話 後編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
「いいのか?」
「いいよっ!」
「そうか」
ガチャと受話器を戻して
杏寿郎が戻って来る
それから用意して貰った軽食を食べて
食べ終わってしばらくした頃に
そろそろ準備に掛かると言う事で
別室の待機室に杏寿郎が移動して
麻理恵先輩のドレスに着替えると
崩れていたメイクを直されて
ヘアもセットしなおして貰って
お昼の人前式の時と同じ状態になる
日が暮れて外は暗くなってるから
周囲の街の夜景に囲まれた状態での
人前式が同じ流れで進んで行って
誓いの言葉の後は
指輪の交換と誓いのキスで
誓いのキスの為に
杏寿郎がみくりの顔を
隠すように覆っている
ウエディングベールをベールアップして行く
「何度も、君のウエディングドレス姿を
見て来たが…、綺麗…だな。みくり。
こんな風に、自分の奥さんの
ドレス姿を何度も見られる、旦那さんは、
俺ぐらいじゃないか?みくり」
結婚式は本来なら
一生に一度…の物のハズだ
「でも、明日も見られるよ?杏寿郎」
ふふふとそう言って
みくりが笑うと
杏寿郎の顔が近付いて来て
自分の瞼を閉じた
その時に
ヒュ――――ッと背後から
花火の打ち上げが始まった音が聞こえて来て
ドーン ドーンっと
神南港の海上に大輪の花火が開いて居るのが
自分の目には見えないけど
その音と 瞼の裏に映る光で感じる事が出来て
キスをしていた唇が離れると
目の前に居る杏寿郎と目が合ってしまった
「ははは、これは驚いたな。
成程、花火の打ち上げに合わせての
模擬挙式の時間変更だったんだな!」
特等席から花火が見られると
杏寿郎が言っていたが
打ち上げをしている海上から
すぐ近くで 次々に打ちあがって行って
空を染めては消えて行く
色とりどりの花火の姿は
大きさも音も近くに感じることが出来て
「杏寿郎、特等席から今年は
花火が見られるってこの事だった…の?」
「ああ、今夜のこの船は時間を
花火の打ち上げに合わせての運行だからな。
これもクインテット側の要望だからな?
船上からの花火をバックに、
誓いのキスをする絵が欲しいと言う希望だ」
花火を観ながら結婚式なんて…
それもクルーズ船の上でとかって
普通は中々経験出来ない…よね?きっと
自分は凄く貴重な体験をしてるのでは…?