第68章 7月のある週末の話 後編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
「そう言えば…、かねこさんが
鰻の血には毒があるって言ってたよね?」
「家で活きた鰻、捌くつもりなのか?君は」
「あれって、鰻だけじゃなくてね?
穴子やウツボにも同じ毒があるんだって」
そうきまぐれクックでは
言ってない部分の鰻の血の毒について
話をして来て
「いや、だが、血に毒があったとしても
家で捌かないだろう?
なら問題ないんじゃないのか?」
「浜名湖の天然鰻、美味しいってさ…」
そう言いながらも
杏寿郎の肩にもたれ掛りながら
みくりがうつらうつらとし始めて
そのまま眠ってしまったのを
杏寿郎が確認すると
スマートフォンでLINEを起動して
弟である千寿郎にLINEを送った
今まで 俺は過去の記憶は無かったし
弟である千寿郎から
大正時代の話を聞いた事は無い
頭がおかしいと思われるんじゃないかと
そう思いながら LINEの返事を待って居ると
すぐに千寿郎からLINEが返って来て
LINEでは話しにくいので
直接会って話したいと言って来たので
直接会う予定を合わせる事にした
驚く程に千寿郎からのLINEは
落ち着いた文面で
俺の記憶が戻ればそれを尋ねて来ると
思って居たと言う様なそんな風にも取れる
LINEの返信を打っていた手を
杏寿郎が止めて
ふぅっと小さく画面を見ながら
ため息を漏らした
「千寿郎…、あの頃…ばかりでなく。
俺は、今も、お前に苦労を掛けてばかりだな」
そう思って居ると
いやそれも違うかと思えて来て
今のあの家はあの頃とは違う
千寿郎が居て
父さんと母さんが居るんだ
そう 居る…
それだけの事なのに
それは当たり前の姿なのに
何故だが その辺り前が
堪らなく 尊い物の様に感じられて
千寿郎からのLINEの返信を見て
ふっと短く息を付くと
スマートフォンを自分のポケットに戻した
「千寿郎も随分と、
頼りがいがある男になったもんだな」
それもそのはずだな
千寿郎はもう大学生なのだから
このまま就職するのか
それとも大学院に進学するのか
迷っているらしいが…
将来は人の役に立つ仕事に就きたいと
小学生の頃から言っていたか…
きっと千寿郎なら
どんな道を選んだとしても
誰かの役に立つ仕事をしてくれるだろうからな
兄は…弟を誇らしく思うぞ 千寿郎
「兄さんは、
自分の家庭を大事にしろ…か」