第68章 7月のある週末の話 後編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
「半分以下か、ここの花火が
県内で最大規模だもんね、本来なら…」
神南港みなと花火は
杏寿郎と付き合ってた事に
デートで来た事がある思い出の花火だ
コロナの影響でこの2年は開催されておらず
今年は満を持して再開される様だったが
この頃のコロナの感染者の増加を受けて
規模を半分以下にしての開催で
出店も規模を縮小し
感染予防対策の上での開催らしく
通年ならば混雑が予想される
無料の観覧場所の解放は無く
全ての観覧エリアが有料で
大規模な人数制限の上での
花火大会の開催の予定で
観覧エリアでは感染予防対策を徹底し
間隔を開けた状態での花火の鑑賞らしいけど
これ以上祭りが出来ない状態が続くよりは
と言う花火大会の運営側の苦肉の策なのだろう
「子供と花火を観に来れる頃には
こんな制限のない状態での、
花火大会じゃないといいんだがな」
そう杏寿郎が花火の打ち上げのされる
海の上のエリアを見上げて
すっと目を細めると
一緒に前に観たあの時の
神南港の夜空を彩って居た
あの日の花火の姿を思い出している様だった
「そうだね、家族で一緒に
打ち上げ花火、ここから観たいね」
「その時は、あのオークラの
和洋室に家族で泊まろう!どうだ?
みくり。いい考えだと思わないか?」
♪~ ♬♪~♪
みくりのスマートフォンから
LINEの通知音がして
「LINEか?」
「樹奈ちゃんからだ、
あの昨日打ち合わせしたあの
コンベンションセンターの所で
プロのピアニストとゲリラライブするって」
そう言えば樹奈ちゃんも
YouTubeの自分のチャンネルを持っていて
アニソンをオペラ風に歌ってみたとかって
感じの動画をアップしてるらしい
「まぁ、折角だから行くか?」
「うん、行きたい」
「よし、なら決まりだな」
今の場所から目と鼻の先の
コンベンションセンターの方へ向かうと
既にギャラリーが集まり始めていて
中からルパン三世のテーマが聞こえて来る
コンベンションセンターのあの
昨日私が弾いたあのピアノから
同じピアノの音なのかと言う様な音と
その音に樹奈ちゃんの歌声が重なって
その歌声とピアノに釣られて
ドンドンと人がコンベンションセンターの
その広場に増えて来るのが分かる
ルパン三世のテーマが終わると
樹奈がギャラリーに頭を下げて