第67章 7月のある週末の話 前編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
普通のサイズじゃない
バンドエイドが必要だと杏寿郎が言って来て
ますます杏寿郎がどんな夢を見ていたのか
疑問に思ってしまう
「ねぇ、杏寿郎」
「ん?何だ?」
「杏寿郎はさ、どんな夢…見てたの?」
どこか遠くを眺める様な
そんな顔をしたと思ったら
視線を今度はこちらに向けて来て
「さっきの君の言葉じゃないが…、
とても幸せな、地獄絵図だったな」
そう杏寿郎が返して来て
その言葉にみくりが首を傾げると
「ねぇねぇ、杏寿郎、
何年後か分からないんだけどさ。
子供が出来て、家族でさ
お出かけとかするじゃない?」
今度はみくりが杏寿郎と
同じ様な事を言って来て
「するとして、どうなんだ?
大きなサイズのバンドエイドだけじゃ
足りないとでも言いたいのか?」
「子供のさ、もしもの時の着替えのさ
服とかさ、予備はさ持って行くじゃん?
あれさ、子供だけじゃダメだなって」
はぁ…とみくりがため息をついて
微妙そうな顔をしていたので
杏寿郎はみくりが
どんな夢を見ていたのか気になってしまった
「大人の分の着替えもあった方がいいなって。
それから、抱っこ紐のスペアも
車には積んどくべきだなって、思っただけ」
そう表情を曇らせるので
彼女がどんな幸せな地獄絵図を見たのか
知りたい様な恐ろしい様な気がしてしまったが
「だが、悪く無い、地獄絵図だったがな?」
「だね。言えてる。
私も、そう思うよ?確かに
あの光景は、地獄絵図だったけど…。
全然嫌な感じしなかったもん」
そう言いながら枕元にあった
スマートフォンの時刻を確認して
「今、何時頃だ?みくり」
「今?まだ3時半過ぎだよ。
夜中、もうしばらく眠れるよ?」
時間を確認すると
みくりが布団を被り直して
もぞもぞとその中に入り直した
枕に頭を納め直そうとしたのを
杏寿郎が止めて来て
「こうして、朝まで眠ってもいいか?」
枕を退けられてしまって
自分の腕の上に頭を置く様に促されて
彼の腕を枕にして自分の頭を置いた
「それはいいけど、杏寿郎
腕、痛くなったり痺れたりしない?」
「そうしたい気分なんだ、いいだろう?」
「なら…いいけど…ふぁ…」
急に眠気が襲って来て
そのままウトウトと眠りに落ちて行く
「寝たのか?みくり」