第67章 7月のある週末の話 前編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
そのまま 眠りに落ちて
夢を見てたんだと思う
私は どこかの草原に居て
真っ白いワンピースを着ていて
こんなワンピースいつ買ったのかな?
こんなの持ってたっけ?とか
そんな事を考えていて
自分の左手に違和感を感じたんだ
自分の手がしっかりと
小さな手を握って居て
そう こっちから握っていた
握っていたのに…
その手がいつの間にか離れてしまっていて
慌てて周囲を見渡すも
草原の草が茂っているだけで
その姿を見つけることが出来なくて
名前を呼ぼうとしたのに
気が付いたんだ
口が動かない
呼べないって
知らないんだって 名前を
握っていたその手の主の名前を
私は知らないんだって
そう気が付かされて
そこで 夢は途切れた
「ゆ、夢…?」
自分の目からは
頬を濡らすぐらいの涙が零れていて
自分が泣いていたんだと気が付いた
男の子だったのかも
女の子だったのかも
それすらも 分からない
何歳なのかも
その顔も声も
名前も何もかも
じっとさっきまでその子の手を
握っていた自分の左手を
みくりがじっと眺めて
夢だったのに
その手を握っていた
その感触だけがまだリアルに残って居て
「…ん?どうしたんだ?寝苦しいのか?
部屋の温度、下げるか?」
杏寿郎の設定温度低いから
これ以上下げられたら
関節冷えちゃいそうだしな
「温度は大丈夫、お手洗い…行って来る。
杏寿郎は寝ててね?」
お手洗いから戻ると
スゥスゥと寝息を立てて杏寿郎が
眠っていたので
自分の布団に潜り込んで
ズルズルと移動して
杏寿郎の身体に自分の身体を寄せると
そのまま瞼を閉じてウトウトとして居ると
「…ダメだ」
そう隣から杏寿郎の声が聞こえて
寝言?と思って
杏寿郎が寝言 言うとか珍しいと
その寝言に意識を集中させて居ると
「そんなに走ると危ないぞ?」
どんな夢見てるんだろ?杏寿郎
「そっちは、ホッキョクグマだな…」
ホッキョクグマ?動物園?
「と言うか、杏寿郎…寝言の
ボリューム下げて貰いたいんだけど」
声が大きいから
ウトウトとする度に寝言に起こされしまう
「次は、パンダ見に行こう」
パンダ?パンダが居る動物園は
日本の中でも限られてる
上野か和歌山かここだけだ