第67章 7月のある週末の話 前編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
「コラ…、そんなに握って貰っては困るがな?
シャツが皺になってしまうぞ?みくり。
握りたいのなら、こっちだろう?」
ギュッと上から手を手で包まれて
握り込まれてしまうと
更にギュウッと胸が締め付けられる
自分の胸の中の杏寿郎が好きって気持ちが
自分の殻に納まらなくなってしまいそうな
そんな錯覚と感覚を憶えてしまっていて
どうしようもない様な
そんな気持ちの行き場を求めて
彼のシャツを握りしめてしまって居たのに
優しく重ねて添えられている手が
杏寿郎のシャツを握っている手を
そっとあくまでもそっと優しく
小指側から 少しずつ 一本ずつ
引き剥がして来るから
ゆっくりとそこから手を
杏寿郎に引き剝がされてしまって
キュっと指と指を絡めて
手を繋がれてしまう
びくっとみくりの身体が跳ねて
「ふぁ、んっ……んぅ」
その口から小さな声が漏れ始めるから
ギュッとその手を握り込みながら
少しばかり開いた唇の隙間を
自分の舌でなぞって
押し込む訳でもこじ開ける訳でもなく
唇の間を開く様に 強請る
「んっ、…、みくり」
「んっ、…んんっ、杏寿郎…ぅ、んぁ…ッ」
している事は手を繋ぎながら
触れるだけのキスをしている
それだけなのだ
只それだけなのに…声がいつもの
数倍に甘く 鼓膜から入って来て
彼女が普段よりも
その刺激に感じて居るのだと
俺の脳に知らせて来るから
自分の中にある 彼女を愛おしいと
想う感情が…可愛がりたいと言う衝動を
一気に刺激して来るから
ぐっとその衝動を抑え込んで
そろ…っとあくまでも浅くに
自分の舌を彼女の唇の間に忍ばせる
「んはぁ、んんぅ、杏寿郎…ンぁ、…はぁ」
言うならば 何もしてない
殆ど…と言うのが今の状態だが
その 彼女の表情も仕草も声も
全てが 俺の…それだけの事で
こんなにもトロトロに蕩けて
甘く甘くなって行く様を見ながら
どこまでゆっくりと優しくを徹底できるかと
自問自答を繰り返す事になりそうだ
「…みくり、いいか?もっと…
君とのキスを欲張っても…?」
そんな事 普段は全然聞いて来ない癖に
どうして今日に限ってこんな事を
杏寿郎は聞いて来るんだろう?
触れるだけのキスから
ほんの少し 舌の先に
ちょんと彼の舌が触れる
「はぁん、んぁ、んぅ…ぁあん」