第17章 夏の空の落とし物 前編 お相手:竈門炭治郎
大鳥居を抜けた先に
手水舎があり作法に従って
自分の手と口を清めて
更に境内をその奥へと本殿の方へ
向ってみくりが足を進めると
境内の中央に拝殿と
その周囲に境内社が取り囲っており
本殿は更に拝殿の奥の
森の中にあるのが本殿の様だった
拝殿の前に狐の面を付けた
炭治郎らしき浴衣姿の人物を見つけて
少しだけ速足にそちらへ急ぐと
「炭治郎君!」
私が彼の名前を呼ぶと
炭治郎がこちらに
気が付いて手を振ってくれた
「みくりさん、すいません、
急に呼び出すような事をしてしまって。
お仕事は大丈夫でしたか?」
「うん。丁度、
仕事が済んで戻る途中だったから」
「今日は……、浴衣なんですね、
凄く素敵です。みくりさんに、
良くお似合いですね。綺麗です」
「え?本当?嬉しいな、ありがとうね。
炭治郎君も、浴衣……、素敵だよ?
一瞬誰かわからなかったもん」
でも 違和感を感じた
いつもの彼の元気さが
その声には無くて……
「炭治郎君、もしかして……体調
悪いんじゃない?声、いつもの元気がないし、
それに…そのお面外して見せてくれない?
顔、見たいんだけど」
「すいません、みくりさん……。
俺の体調に関する事で、
実は、ご相談…したい事があるんです。
その、一週間前の任務の事で」
炭治郎が思いつめた様子で
そう返して来て
その事について聞き出そうとすると
ここではちょっと と言うので
炭治郎と境内から少し外れた
人の気配の全くない森の方へ入って
適当に座れそうな場所を見つけて
腰を降ろした
「丁度、一週間ほど前の
任務の後からなんですけど…。
左の肩が重くて……、それだけじゃなくって
身体もだるくて…、
寝たら治ると思ってたんですけども」
「治らない……って事?体調崩してるのが」
みくりの目には
炭治郎が感じている
体調不良の原因が見えていて
ちらっと炭治郎の左の肩を見ると
乗ってる……んだよなぁ