第66章 あるカップルの週末 お相手:不死川実弥 現代パロ
「美味しい」
よしよしとまた
その温かい手に頭を撫でられてしまって
「…好き?」
「あん?何だァ?急に」
「不死川さん、いつも
私の頭すぐ撫でて来るから、
好きなのかと思って」
そうだな コイツを見てると
昔を思い出す
今は実家に残して来てる
少し年の離れた
下の弟と妹の事を思い出す
「それはあれだァ…、お前が
子供みてぇだから。放っとけねぇし。
気ィ、付いたら、撫でちまってる」
「でも、好き…なのです」
「あ?」
ふふふとみくりが
さっき不死川が撫でた部分を
自分の手で押さえながら嬉しそうに笑って
「不死川さんに、撫で撫でして貰うの。
好きなのです、私」
ぐしゃっと今までの
ナデナデとは違う撫で方で
髪を乱す様に撫でつけられてしまって
スルスルとその手の指の背で
不死川が目を細めながら
みくりの頬を撫でて来て
その 撫で方の意味が
さっきまでと違うのが
みくりにも伝わるから
ぴくっと小さくみくりが
少し身体を硬くして反応する
「みくり…」
「し、不死川さん?
あのっ、か、顔が…近いですッ」
すぐ目の前に不死川の顔があって
「…食わせろォ」
ドキッと思わず
その不死川の食べたい物に
あらぬ妄想をしてしまって
ソフトクリームを買った時に
あっちの人が付けてくれていた
透明のプラスチックのスプーンで
ソフトクリームを一口分すくうと
こちらに顔を近付けて来た
不死川の方へそれを差し出して
あ…ん と口を開いた
不死川の口の中にスプーンですくった
ソフトクリームを入れると
「甘ぇ…な」
「ソフトクリームは甘いです」
「けどよォ、やっぱ、甘ぇ」
そうソフトクリームが甘いのは
当たり前なのに
不死川が不満そうに言って来るから
みくりがその
プラスチックのスプーンで
もう一口分の ソフトクリームを
すくうと 不死川の口の前に持って行って
「はい、不死川さん。あーん」
「あんなぁ、甘いつっただろうーがよ?」
「あーん」
ズイっと更に スプーンを
こちらにみくりが近付けて来るから
ガシガシと頭を不死川が掻くと
「ああっ、もうっ、
わあったよ!食えばいいんだろ?
食えば!あーん」
そう半分 自棄になったみたいにして
あーんと 口を開けて来るから