第65章 2人の小さな七夕を お相手:煉獄杏寿郎 現パロ Rー15
そう杏寿郎が言って来て
ベランダから空を見上げるも
生憎の曇天が広がっていて
昼間は晴れ間もあったから
今夜は星が見えるかと思って居たが
「今夜は、星が見れたらと思ったんだがな」
「ああ、こんなお天気だったから。
星の代りに、線香花火買って来てくれたの?」
杏寿郎が見上げている様にして
みくりも星の無い 曇天の夜空を見上げて
「まぁ、だが。曇り空で。
こっちからあっちが見えてないと言う事は、
あっちからも、こっちが見えていない
と言う、解釈をしてもいいかもな?」
そう言いながらも
杏寿郎が拳一つ分の距離を詰めて来て
お互いの肩と肩が触れ合う距離になる
知らない間に次の線香花火に
杏寿郎が火をつけていて
みくりも新しい線香花火に火をつけた
お互いの線香花火が
近付く様に持つと
2本の線香花火から散る火花が
大きな ひとつの火花になって
「わぁ、凄いよ。
ゴージャスな感じがするッ」
「ああ、そうだ。今は紙の線香花火が
主流になってるだろう?
このワラスボの線香花火は、
これを買った店で話を聞いたんだが。
今は国内で1軒だけらしいな」
関西の人間には
馴染みの深い 紙じゃない方の
線香花火の現実を知らされて
みくりはショックを隠せない様だったが
「無くなっちゃうの?」
「まぁ、そこが製造を止めてしまえば。
日本から消える事になるだろうが…」
「そんな悲しい事ってあるの?
もう、夏終わった気分になったし。
あ、そうだ。線香花火って
何で線香花火って言うか知ってる?」
ちょっと待っててと
みくりが部屋に戻って
インセンスを立てる
線香立てを持って来ると
線香花火を逆さまにして
燃える方を上にしてセットして
その先に火を点ける
「本来は、お線香みたいにして
立てて鑑賞する物だったらしいよ?
まぁ、この使い方は紙の長手の
線香花火には出来ないやり方だよね?
だから、線香花火って言うんだってさ」
手の持たなくていい状態で
2人でその線香立ての
線香花火を楽しむ
ピッタリと身を寄せ合って
トンと杏寿郎の肩に
みくりが自分の頭を預けると
杏寿郎が腕を伸ばして来て
みくりの肩を抱いて来て
耳元に杏寿郎の吐息が掛かる
「そろそろ、浴衣の奥さんを
堪能したいんだが、どうだろうか?」