第65章 2人の小さな七夕を お相手:煉獄杏寿郎 現パロ Rー15
「七夕の夜に…」
そう杏寿郎が言って
グラスを掲げて来るから
みくりがそのグラスに
自分のグラスを近付けて
「乾杯」
チンとグラスを当てて
乾杯をすると その泡の立つ
黄金色の液体に口をつけた
ゴクリと嚥下すると
「確かに、夏にいいかも知れないね。
すっきりして軽やかで、
爽やかな感じだけど。苦味も少ないし。
でも、独特な香りがするから。
これが、サファイアホップの香りって事?」
「エールと、ホップの特徴がありながらに、
爽やかな口当たりと、旨みが
馴染みのいい、万人受けしそうな、
味わいになってるな」
そう杏寿郎が言いながら
あっちとベランダの方を指差して来るから
グラスを持ったままで
移動して行った杏寿郎の後を追うと
ベランダに続く窓を全開にして
その際の所に腰を降ろしたので
「ああ、待って、窓
開けっぱなしにするんだったら。
あれするから、押すだけノーマットの
ゴールドのやつ。屋外でも使えるんだってさ」
そう言いながら スプレータイプの
虫よけの普通のやつよりも
スプレー部分が大きめの
プッシュする部分もノズルの様になった
金色のボディが効果のありそうな
金色のノーマットを持って来て
ベランダの窓の辺りに向けてスプレーする
「画期的じゃない?このタイプの
虫よけアイテムで、外でも使えるとかって」
「これ、開けてみてくれるか?」
そう言って杏寿郎が
そんなに大きくない箱を
こちらに手渡して来て
良く分からないままに
その封を開いて中身を見ると
金魚すくいとかのポイが30枚程と
カラフルなサイズも
大小様々な スーパーボールと
柔らかい素材で出来た
リアルな金魚が入っていて
「これ、お祭りの
スーパーボールすくいとかのやつ?
これ、金魚可愛いね、リアルだし」
ぷにぷにとした触り心地の
金魚をみくりが触って
確かめていて
「すくうだろ?」
そう言って
何も入って居なかった方の
水だけ入ったタライに
すくう物を杏寿郎が入れると
みくりにポイを手渡して来て
「すくうけどさ、これ
その後どうするの?
スーパーボールの使い道なんて
濡らして匂い嗅ぐぐらいじゃん」
スーパーボールをすくいながら
そう問い返しても
杏寿郎からの返事はなく
タライの中のスーパーボールを
ひとつその手に取って