第65章 2人の小さな七夕を お相手:煉獄杏寿郎 現パロ Rー15
「そう言えば、いいのか?
IHあれ、点いたままじゃないのか?」
キッチンのIHコンロが
点いたままなんじゃないかと
杏寿郎が指摘して来て
「ああ、あれね。あれは
まだ、きゅうりだから。
きゅうりから進化させないと」
「きゅうり?進化?」
杏寿郎は首を傾げていて
みくりはコンロの片手鍋を覗き込んで
「うーん、まだ、ちょっと
進化途中かな?まだきゅうりだよ。
ああ、おじさんがね、
おばけきゅうり送ってくれたからね。
今、きゅうりをさ煮てるんだけどね?」
きゅうりを煮る?
「みくり!もしかして、
あれを作ってるのか?」
明らかに杏寿郎の顔が変わったので
杏寿郎にも私が何を待っているのかが
理解が出来て来た様で
「大丈夫。ちゃんとわかってるからさ。
今、ご飯も炊飯器で炊いてるから」
「そうか、あれがあるなら
ビールも白ご飯も進むな、危険だ」
「と、言う訳だから。
お鍋はタイマーにしてあるから
放置してくれてていいから。
私は、シャワーしてくるね?
上がったら、浴衣に着替えるからさ」
「ちょっと、待ってくれ」
自分の前を通り過ぎようとする
みくりを杏寿郎が引き留めて来て
「何?どうしたの?」
「その、浴衣の事なんだけどな…」
杏寿郎が今から着る
浴衣の事を切り出して来て
「ちゃーんと、
分かってるつもりだけど?」
ふふっとみくりが笑うと
杏寿郎の耳を自分の手で
覆うようにして ある事を囁くと
耳元から口を離して
下から杏寿郎の顔を見上げて
「って思ってるんだけど、
違った?合ってる?」
ニコニコとみくりが笑って
杏寿郎が自分の口元を押さえると
「それで…、頼む」
「はいはい、じゃあ、
シャワーしてくるね?」
杏寿郎に見送られて
バスルームへ向かうと
シャワーを浴びて
お家で簡単に洗濯できる
ポリエステルの
白地に水色で水面と
赤と黒の金魚の柄の浴衣に
指し色になる
黒の帯を締めた
柄は大きめの金魚だけど
全体的に落ち着いた色合いだから
大人が着ても違和感がない感じの浴衣だ
髪もややルーズに
一つに纏め上げて
浴衣に合うようにした
「杏寿郎、これでいい?」
「ああ。いいな、浴衣。
祭りで浴衣もいいが、
お家浴衣も、
特別感があっていいもんだな」