第65章 2人の小さな七夕を お相手:煉獄杏寿郎 現パロ Rー15
みくりがそう言いながら
完成した小さな笹に
似合わない不釣り合いな量の
飾りのついた笹を見上げる
「俺は七夕の日が晴れないのは、
織姫と彦星が年にたった一度の逢瀬を
下から、覗かれない様に
してるんだと思って居たがな」
そう杏寿郎が言って
ハハハハとあのいつもの勢いで笑って
きょとんとした顔でみくりが
杏寿郎の方を見ていて
「晴れてないと、2人は
会えないかと思ってた…。
そっか、そうだね。そうだといいな…」
「大雨で、天の川が氾濫したとしても。
俺なら会いに行くがな!まぁ
それ以前に、自分の仕事を認めて貰って。
年に一度の逢瀬ではなくて、会う回数
増やせないかとか、相談するがな」
「そんな事したら、七夕、毎月になるの?」
「毎週かもな?」
一緒に住み始める前まで
毎週デートしてたっけ?
「毎週デートしてたら、毎週七夕?」
「俺が、彦星だったらの話だがな。
だが、幸せな事に俺の織姫は
俺の隣に、毎日居てくれてるからな」
杏寿郎が隣に腰を降ろして来て
そのまま肩を抱かれて
身体を引き寄せられる
「そうだろう?みくり」
「うん、そうだね。
毎日、一緒に居るね。
今もこれからも…」
「だったら、この君の願い事は
わざわざ吊るさなくていいな?」
そう言って杏寿郎が
いつの間にか私が書いた短冊を持っていて
その短冊の色に覚えがあって
その短冊に書いた願い事は…ッ
「うむ。俺の奥さんは
なかなかに、可愛らしい願い事を
してくれるからな。こんな事は
わざわざ願うまでもないだろう?みくり」
そう言って
杏寿郎がみくりの書いた
その短冊にキスをして
ニヤニヤと嬉しそうでいて
それでいて嫌味ぽい笑顔を浮かべていて
「やっ、返してよっ、それっ、
私が、どんなお願い事してもいいでしょ?」
杏寿郎の手にある
自分の書いた短冊を取り返そうとするも
背の高さが違うのだから
自分が手を伸ばそうとも
その短冊は
スルスルとみくりの手から
逃れて逃げて行く
「返して欲しいか?みくり」
「あ~ん、もう、意地悪しないでよっ」
「なら、この短冊の願い事は、
天の神様でも星にでもなくて、
俺にして欲しい…んだが?みくり。
この願い事は、俺が叶えたいんだ」