第64章 例えばこんな結婚式を 後編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
杏寿郎が私の中華街の
お目当ての汁そば二つに
自分のお目当ての焼き小籠包を
トレーに乗せて戻って来て
自分も汁そば食べたかったんじゃん
と思いつつ 杏寿郎から
汁そばを受けとる
「君も食べるか?」
「口の中火傷するからいい」
「君は猫舌だったな」
「猫舌って親が作るって知ってる?」
「そうなのか?」
「一番上の子は親が
ふぅふぅして、
冷ました物食べさせるから
猫舌になりやすいんだって」
「俺は、長男なんだが?」
その理屈はおかしいと言いたげに
杏寿郎が言って来て
「でも、人間の舌って先の部分が
温度を敏感に感じるらしくてね。
普通の人は熱い物食べる時に、その
熱さを感じる場所を無意識に隠して食べるけど
猫舌の人はそこから先に
食べ物を迎えに行くから火傷するんだってさ。
だから、舌の構造とかじゃなくて。
食べ方の問題らしいよ?」
「そこまで分かってるなら、
食べられるんじゃないのか?」
ふぅふぅと汁そばの麺を
冷ますのに吹いているみくりに
杏寿郎が熱い肉汁の滴る
焼き小籠包を食べながら問いかけて来て
「親が猫舌だと、どうしても
子供に冷まして与えるから、
子供も猫舌になるんだってさ」
「君のあのお母さんは猫舌なのか?」
「だから多分、猫舌の親は
あの舌を火傷する感覚を子供に
味合わせちゃいけないって思うから
ふうふうしちゃって、
子供を猫舌にするんだろうけどね。
それが結果的に、子供に熱い物の
上手な食べ方を学ぶ機会を奪ってると」
「要するに、食べる時に
舌先を当てなければいいんだろう?」
杏寿郎が舌先を下の歯の裏に
ひっつけて見せて来て
「こうして
食べたらいいんじゃないのか?」
確かに 舌の先が
熱さに敏感なのなら
舌の先を歯の裏に当てて置けば
「食べるか?美味いぞ?」
そう言ってアツアツの
焼き小籠包をこちらに差し出して来るから
流石にそれは失敗したら
大惨事になりかねないので
とりあえず理屈は分かって居るけど
舌を歯の裏に引っ付けて
汁そばを冷まさずに口の中に入れてみる
「大丈夫そうだな、ならこっちは?」
流石にそのまま一口に
アツアツの焼き小籠包を食べれば
喉が火傷してしまいそうだ
「店の人が言ってたが、
先にちょっと齧って
そこからスープをすすってから
食べると、火傷しないらしいぞ?」