第64章 例えばこんな結婚式を 後編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
「貴方を望めば望むほど、
想えば想う程に、
おこがましいと…思うのにあります」
この顔の この身体の火傷の痕がなければ
このしがらみがなければ
その状態で彼にそうして貰いたい
彼を縛るしがらみも
負い目になる火傷も無い
自分で
彼を愛して
彼に愛されたい
ああ…そうか
あの時の私は 愛されたかったし
彼を 杏寿郎を愛したかったのか…
ただ それだけだったんだ
だから あの時の私は
言わなかったんだ
この胸の内にある 彼への想いを
彼に告げる事は無かった
「おこがましいのは、浅ましいのは
俺の方だろう?違うか?みくり。
君のその気持ちを知りながらに、
俺は、君を求めたんだからな…。
君に身を引かす事も、鬼殺隊を抜ける事も
その全ての退路を奪って塞いだのだからな」
「逃げ道を塞ぐ度に、罪悪感を
余計に募らせてたの?
それを杏寿郎が自分を責める度に、
あの時の私はそれを自分の所為なのだと
勘違いしちゃうの?」
目の前の彼は驚いた様子だった
「杏寿郎は杏寿郎で
杏寿郎も、杏寿郎でしょう?
だから、私も私で、
私なんでしょう?だったらいいよ」
何が 一体
杏寿郎でいいのか
みくりでいいのかの
説明が一切無かったが
フッと杏寿郎の口元が緩んで
「だったらいいよ」
そうか 君が許すのか
許し合う事すらも出来ない彼等を
君が 許してしまうんだな
「もう、いいんだよ、全部」
みくり 今の君には
あの時の君に無い 強さがあるんだな
俺と彼女が出来なかった
それを こうも簡単にしてしまえる
「杏寿郎!」
「何だ?みくり」
「好き、大好き…、愛してる…」
そうして彼女からのキスを受け入れる
「思い出したの、私。
全然、全部じゃないけど。
思い出したの、私が私になって
ここに今、居る理由…」
貴方を愛して
貴方に愛されたい
その為に 私がここに居るんだなって
思い出さなくても そうだったし
ちゃんと私 そうしてた
「ああ、みくり。
俺も、君を愛してる。
それは、今も、昔も、これからもだ」
そのまま お互いを求めあって
その熱に溶け合って
愛してるって何度も愛を囁き合って
私と彼との
初めての夜を 過ごした